第三者からのご意見

ムラタのCSRに寄せて


ムラタのCSRでは事業活動を通じた社会的責任の遂行が強調されています。事業活動を通じた雇用の維持や社会的課題の解決などへの強い決意を読み取ることができます。ただし、現在の報告書では、抽象的な説明が多くなっています。国際的には、国連で採択されたSDGs (持続可能な開発目標) のように具体的な問題への解決が求められています。ムラタの事業活動を通じた社会的責任の履行が、このような具体的な社会的課題の解決にどのように結びつくのかを示し、それをCSR活動の中心に据えられれば、ムラタの世界をリードしようという姿勢がより明確になると思われます。

ダイバーシティ&インクルージョンも本報告書のトピックの一つです。ダイバーシティ化の促進は、すべての社会階層で必要な活動ですので、是非、積極的に展開されて、大きな成果を収めていただきたいと思います。そのためには、具体的なアクションプランが必要になると思います。性別、年齢、国籍だけが多様化の対象ではありません。働き方そのものも多様化して、企業の体力を強化するとともに、従業員の人生をより充実させるような施策の展開を希望します。そのためには、いくつかの具体的な目標となる指標の設定も検討されることが大切と考えます。

サプライチェーンを対象として取り組みを実行されていることも評価できます。CSRも環境もサプライチェーン全体で対応しなければうまく管理できないことが、ここ数年ではっきりしてきました。バイヤーからのプレッシャーも年々大きくなると思います。ムラタは素材に近いサプライヤーとの関係が主になると思いますので、アッセンブリーメーカーでは十分対応できない、きめの細かいサプライチェーンでの社会的価値の追求を期待しています。

CSRの世界では統合報告書 (Integrated Report) への転換が進んでいます。統合報告書の特徴は、財務資本だけでなく、製造資本、知的資本、人間資本、社会・関係資本、自然資本が生み出す価値も含めた「統合」的な報告書です。ムラタのCSRの精神にフィットした報告スタイルであると思います。今後は、統合報告書の発行へ向けた準備を期待しています。その時にポイントになるのは、社会に向けた価値創造の指標です。財務的なKP (I Key Performance Indicator) だけでなく、非財務KPIを同時に設定し、目標管理して、状況を開示していくことが、これからは重要になると思います。