巻頭言

安心・安全で快適な未来のIoT社会へ ムラタの通信技術で「みんなつながる」

村田 恒夫 Tsuneo Murata 株式会社村田製作所 代表取締役社長

1951年京都府に生まれる。1974年同志社大学経済学部卒業、株式会社村田製作所入社。
1988年Murata Europe Management GmbH ゲシェフツフューラー。
1989年村田製作所取締役、常務取締役、専務取締役、副社長を経て、2007年代表取締役社長に就任。
趣味は、蘭の栽培、写真撮影。

2000年以降、ITの役割は従来の電気通信のように「人」と「人」をつなぐ手段から、ブロードバンドの進展により「人」と「情報」をつなぐ手段へ発展してきました。さらに、スマートフォンの普及により、モバイルネットワークや無線LANの高速化が進んできました。

無線LANもそろそろギガビット超が見えてきたところです。IEEE 802.11ad、通称「WiGig (Wireless Gigabit) 」という無線LAN規格がすでに策定され、最大約7Gbpsの通信速度を実現するといわれています。こうしてみると、2015年がモバイル端末にとってのギガビット時代の始まりになると思われます。

また、一方で政府は、インターネットでさまざまなものをつなぐIoT (Internet of Things) 技術の活用を広げる取り組みを加速しています。IoTは欧米で先行しており、もし導入が遅れれば日本の技術力が高いレベルであろうとも、国際競争を勝ち残っていくことは困難と判断しています。

このように2016年以降はさらなる高速化にふさわしい新たな周辺サービスやコンテンツが生まれます。そこで本号は、通信市場において大きな役割を果たしている「通信技術」にスポットを当てたいと思います。

ムラタの通信モジュールは、無線通信端末の小型・高機能化に最も貢献してきた製品群の一つです。そしてムラタが汎用部品メーカーとしてだけではなく、モジュールメーカーとしても業容を拡大する原動力となった画期的な製品群でもあります。通信モジュールはLTCC (低温焼成セラミックス) を用いた多層LCフィルタから始まり、さまざまな機能を複合化、高機能化していきながら、2015年度には売り上げの30%以上を占めるまでに大きく成長しました。

ヘルスケア・メディカル、エネルギー、IoTの新しい市場でムラタらしさを発揮し、新商品を投入し新事業を立ち上げることでお客様とともに安心・安全で快適な未来に向け社会貢献してまいります。本誌を通じて、そんなメッセージがお届けできれば幸いです。