Pick Up Products! PLT10HHによる車載モーターのノイズ対策事例

2011/11/28
応用

カテゴリー:ノイズ対策PLAZA

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前回、大電流対応のコモンモードチョークコイルを紹介しましたが、今回は引き続いてPLT10HHを使って車載モーターのノイズ対策を行った事例を紹介します。
PLT10HHについて紹介した前回の記事はこちら


はじめに

最近は自動車の省エネルギー化や軽量化のために、各部を電動化するケースが増えてきています。このため、ワイパーなどの昔ながらの装備だけでなく、パワーステアリング、燃料ポンプなどにもモーターが使われるようになっています。直流モーターにはブラシを使って整流するものがありますが、このブラシは整流子とつながったり離れたりするため急激な電流変化によるノイズやスパークノイズが発生します。(図2)これが電源ラインを伝わって各部に流れていくと、悪影響を及ぼすことがあります。このノイズはモーターの回転数にもよりますが、数百kHz-数百MHzといった広い周波数範囲に及ぶため、十分なノイズ対策が必要となります。


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図1 ブラシモーターからノイズが発生する理由


図2にブラシモーターからのノイズ発生のモデルと、基本的な対策方法のポイントを示します。基本的に、ノイズは電源電流と同様に伝わるディファレンシャルモードノイズ、2本の電源ラインに並行して伝導するコモンモードノイズの両モードを含むため、それぞれのモードに効果的なノイズ対策を行う必要があります。比較的簡単に低価格で行える対策がコンデンサによる対策です。ディファレンシャルモード対策には、2本の電源ラインにまたがって接続するアクロスザラインコンデンサ(Xコンデンサ)を用い、コモンモード対策には両ラインとシャーシグランドとの間に接続するラインバイパスコンデンサ(Yコンデンサ)を用います。

コンデンサだけで十分にノイズが除去できない場合はこれにコモンモードチョークコイルを追加することで、対策しにくいコモンモードノイズを効果的に除去することができ、問題となりやすい高周波領域まで対策をすることが可能になります。


< ブラシモータにおけるノイズ発生原因と対策方法>

ブラシと整流子との間で発生するスパークノイズが原因であり、
ノーマルモードとコモンモードノイズの双方を含む、広帯域ノイズであることが特徴です。

ノイズ対策のポイント

① モータ内部 (ノイズ発生源付近) での対策が有効です。
② Xコンデンサ・Yコンデンサの使用により、ノーマルモードとコモンモードノイズ双方の対策に有効です。


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図2 ブラシモータにおけるノイズ発生原因と対策方法


モーターのノイズ対策実験例

図3に実際にパワーウインドウ用のモーターにノイズ対策実験を行った例を紹介します。
アクロスザラインコンデンサ、ラインバイパスコンデンサといったコンデンサだけを用いてノイズ対策を行った場合、10MHzより低い周波数では十分なノイズ対策効果が表れていますが、30MHzを超えた周波数領域では十分なノイズ対策効果が得られず、CISPR Part25 Class4をクリアすることができていません。

コンデンサに加えてコモンモードチョークコイルPLT10HHを追加した場合は、30MHz以上のノイズが除去され、CISPR Part25 Class4をクリアすることに成功しています。電源ラインのノイズは、低周波領域はディファレンシャルモードが支配的であり高周波領域はコモンモードが支配的であるため、コモンモードノイズを除去するコモンモードチョークコイルが効果的に働き、高周波領域のノイズを除去することができます。

また、電源ラインでは大電流が流れるため、通常のインダクタは大電流通電時に磁気飽和のためにインダクタンスが低下してしまいノイズ除去効果が低減しますが、コモンモードチョークコイルはその内部構造のために磁気飽和が起こりにくくなっており、ノイズ除去効果が低下しにくい特徴があります。この意味でも、電源ラインにコモンモードチョークコイルを使用するのは効率的です。



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図3 モーターノイズの対策例


ここで使用したコモンモードチョークコイルPLT10HHは、定格電流が6Aから最大10A対応となっており、起動時に大電流が流れる各種モーター用途に対応できる仕様です。また、高信頼性設計となっているため、自動車等の厳しい環境でも使用できます。もちろん通常の電子機器にも使用できますので、幅広いモーターの電源ラインのノイズ対策に最適です。


担当:村田製作所 コンポーネント事業本部 販売推進企画部 三屋 康宏