インダクタの問題解決事例RF回路内のロス低減のご提案

RF回路の損失は整合回路に使用するインダクタのQの大きさによっても左右されます。弊社では数多くのHighQ製品をラインアップしており、RF回路内のロスを低減することをご提案します。ラインアップの中でも、最もHighQの特性となる巻線構造"LQWシリーズ 別ウィンドウで開く "を推奨しています。

各種RFインダクタのロス比較

ここでは、LQWシリーズを推奨する理由をSAWフィルタを例に解説します。
弊社のSAWフィルタ (通過帯域800MHz帯) とRFインダクタを用いて整合回路にQの違うRFインダクタを載せ替え、SAWフィルタの挿入損失を測定・比較しました。

図1に回路図を示します。今回の回路の場合、整合回路と言ってもRFインダクタが1つだけです。

Figure 1: SAW Filter and Matching Circuit

図1: SAWフィルタと整合回路

図2に今回比較を行ったRFインダクタのQの周波数特性、表1に構造、サイズ、Q (800MHzでのTyp.値) を示します。

Figure 2: Comparison of RF Inductor Q (both 7.5 nH)

図2: RFインダクタのQ比較 (ともに7.5nH)

左右にスワイプ可能です 横持ちでご覧ください
表1 RFインダクタの比較
品番 構造 サイズ (mm) Q
LQW15AN7N5H00 巻線 1.0×0.5 59
LQW04AN7N5D00 巻線 0.8×0.4 48
LQG15HN7N5J02 積層 1.0×0.5 33
LQP03TN7N5H02 フィルム 0.6×0.3 27

整合回路のRFインダクタを載せ替えたときのSAWフィルタの全体特性を図3に、通過帯域特性を図4に示します。

  • 図3: SAWフィルタの全体特性

    図3: SAWフィルタの全体特性

  • 図4: SAWフィルタの通過帯域特性

    図4: SAWフィルタの通過帯域特性

図4の通過帯域を見ると、使用したRFインダクタによってSAWフィルタの挿入損失が違っていることが確認できます。
高周波回路ではこのレベルの損失の違いが重要になってきます。

今回の実験結果から、RFインダクタのQの大きいもの (損失の小さいもの) ほど、SAWフィルタの挿入損失が小さいことがわかります。
つまり、インダクタの損失の大小が整合回路を含んだSAWフィルタの損失の大小となります。

なお、使用する高周波部品 (今回はSAWフィルタ) や整合回路、周波数帯などにより、損失は変わってきますので、ご注意ください。

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