エネルギーは無限ではない、いかに少ない電力で動かせるか、エネルギーハーベスティングは究極のエコだと思う

部課の垣根を超えた交流、技術者間の連携で新規事業を創出

ムラタには組織を横断して新規事業を創出しようとする「MIRAI」という活動がある。世界で初めてといわれるものや、市場に出せば面白そうなもの、リアリティがあって、儲かりそうで夢があるものなど。そういうアイデアを実現させるために、部や課の垣根を超えて有志が集まりプロジェクトを立ち上げる。技術者にとっては、自らの技術の横展開はこれまで苦手な分野であったが、こうした活動を通じて交流を図ることで新たな事業を生み出す。

第1弾が、このエネルギーハーベスティングで、当初は8名ほどでスタート、月に2、3回のミーティングなどを経て、製品作りを行った。CEATEC JAPANなどの展示会にも出展し、市場の評価を得た。

ナノワットレベルの稼働を目指す、自己発電型のセンサネットワーク

センサネットワークは、もともとムラタが得意とする技術。自己発電型にすることで、設置場所を選ばず、メンテナンスフリーとなった。今はμWレベルの発電で感知と通信を行うが、世界的な最先端の研究はすでに次の段階に入っており、nW (ナノワット: 10-9) で稼働する仕組み作りへと移っている。実現のためには、nWで動くセンサや通信モジュールを開発しなければならず、もう一度、材料の選定や通信規格の見直しが進められるだろう。高い技術を要求されるので競合他社はあまりいないが、この概念を理解してもらうのに時間がかかった。

つまり、無駄な人造エネルギーは使わずに、無尽蔵に散在する最小のエネルギーで仕事を行う。従来は必要な機能を得るために、必要な電力を計算し、どのように供給するかを考えていた。エネルギーハーベスティングの概念は、まったく逆で、与えられた小さな電力で動かせる装置をいかに作るかということ。これが所与のエネルギーで生存と快適を両立させる究極の省エネの形だと思う。

科学技術の急速な発達により、人の五感にあたるセンサ技術、頭脳にあたるコンピュータ、神経にあたるネットワーク技術の高度化が進み、こうした生物のような仕組みが建築に導入されるようになった。建物自身が生きた人間のように機能するための研究 () も進んでいる。ムラタを含めた国内の企業50社近くが集まって、エネルギーハーベスティングのコンソーシアムも立ち上がった。マーケットは大きく熟してきている。5年後には100億円ほどの事業規模にすることを目指して、製品開発を進めている。

生命化建築

生き物でいう五感にあたる「センサ技術」、頭脳にあたる「小型コンピュータ」、そして神経にあたる「ネットワーク技術」の高度化が進み、生物本来の仕組みがITによって建築物へ導入されようとしている。建物自身が、建物の損傷や設計・施行時の不具合、修復の必要性を判断し、外部に知らせる。
大地震の場合は、建物自身が住民に避難を呼びかけることもできる。慶應義塾大学の三田彰教授が進めている研究テーマ。エネルギーハーベスティングとの関連が深い。

自己発電型無線照明制御スイッチ

人が押したスイッチの動きを電磁誘導で電力に変換し、無線通信で信号を送信。AC100V制御リレーを動作させることで照明器具の点灯・消灯を行う仕組み。
電池不要の無線照明制御システムを実現するもので、メンテナンスが容易で配線不要のために工費が削減できる。ビルオートメーションやリニューアルの市場でのニーズの高まりに呼応して製品化された。
戸田建設株式会社の本社ビルで、実用化に向けて試験運用を開始している。

Self-Powered Wireless Lighting Switching System

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