巻頭言

Exploring New Frontiers as We Work with Customers to Create New Value
Tsuneo Murata President, Statutory Representative Director Murata Manufacturing Co., Ltd.

プロフィール

1951年京都府に生まれる。1974年同志社大学経済学部卒業、株式会社村田製作所入社。
1988年Murata Europe Management GmbH ゲシェフツフューラー。1989年村田製作所取締役、常務取締役、専務取締役、副社長を経て、2007年代表取締役社長に就任。
趣味は、蘭の栽培、写真撮影。

エネルギー、とくに電気エネルギーを「賢く」使うことが、これまでになく注目され、さまざまな取り組みが加速されています。電気エネルギーを消費する機器の効率を上げて消費電力を下げることだけなく、発電し、送電し、蓄電するところもあわせて、全体で「賢く」していくことが求められています。そこで、本号のテーマはエネルギーマネジメントとしました。

以前は、化石燃料の枯渇や温暖化ガスの排出増加による地球温暖化に着目して、エネルギー問題が考えられてきました。しかし現在、とくに日本では、これらの観点から原子力発電への依存をどうしていくかに関心が移り、再生可能エネルギーをより一層利用することや電力使用のピークカット、ピークシフトに、より焦点が当たっています。ただ、基幹となるエネルギー源をどうするかを別にすれば、程度のちがいこそあれ、以前と課題はさほど変わっていないのかもしれません。つまり、電気機器の効率を上げることに加えて、安定性に劣る再生可能エネルギーをどう使いこなしていくかということ。太陽光、太陽熱は天気のよい日中に限られますし、風は一定に吹いてくれません。

これからの姿として、電力会社の系統制御に比べるとはるかに小規模なエネルギーマネジメントのシステムが多数設置され、それらが連携も取りながらきめ細やかにエネルギーマネジメントしているということは、確実視できます。ムラタは、連携するために通信モジュールで、きめ細やかな制御のためにセンシングでお役に立ちたいし、これまでの経験を生かしながらお役に立てると思います。小さな電力を環境から生み出すエネルギーハーベスティング、機器の効率を向上するDC-DCコンバータなどでも、貢献できると思います。さらに、無線スイッチシステムなどでは、ムラタ単独ではなく他社の技術、製品をムラタの技術と組み合わせることで、お客様に便利にお使いいただけ、新しい価値をご提供できることをめざしています。

これまで、ムラタの多くの商品は電力の小さな回路で使われるものでした。これからは、ソリューションの提供がより求められるようになると考えたとき、ムラタで対応できる電力のレンジを拡大していくことが必要でしょうし、そのためにも、これまで手がけてこなかった商品群をもつことも必要になります。非セラミック系のコンデンサ (キャパシタ) は、その典型例です。これによって、積層セラミックコンデンサよりも相対的にエネルギーの大きな領域でも、ソリューションをご提供できるようになります。たしかに、技術的にも市場も、ムラタの経験のない領域かもしれません。材料はセラミックスではありません。当然ながら、製造方法もちがいます。扱うエネルギーが大きくなると、これまでの常識が通じなくなることもあるでしょう。しかし一方で、ムラタのもっている種々の技術を利用して、市場にある商品に対して特徴のあるものを生み出せるでしょうし、お客様とのやりとりから特色をさらに引き出した商品の開発、使い方の発見が期待できるとも思います。新たな領域でも。お客様と一緒に社会に貢献していきたいと願っています。