小型高出力エネルギーデバイス
ムラタの電気二重層キャパシタは小型ながら大容量かつ高出力。
ポータブルバッテリー機器などの補助電源として使用することによりバッテリーの負荷を軽減したり、バッテリーからは出力できない高出力の機能を実現することができます。
一般的に電気二重層キャパシタはElectric Double Layer Capacitorの頭文字を取りEDLCと呼ばれています。EDLCは非常に大きな容量を実現できることからスーパーキャパシタ、ウルトラキャパシタとも呼ばれています。その容量はセラミックコンデンサの数千倍、アルミ電解コンデンサの数百倍です。また、EDLCは、バッテリーと比較すると内部抵抗が小さく、充放電サイクル寿命が長いという特長を有しています。従来のEDLCはコイン型が主流で、例えば携帯電話などのメモリーバックアップといった、低出力の用途に使われてきました。
電気二重層キャパシタ
ムラタは、2008年に豪州のCAP-XX社と技術提携して導入した技術をベースに、設計や材料を独自に最適化し、小型ながら大容量・高電圧かつ低ESR (等価直列抵抗) のEDLCを開発しました。大容量の特性を最大に活かしながらさまざまな用途へ適用範囲を広げるためにパルス応答性を最適化し、低温下でのESRの上昇を小さくすることで広い温度範囲で低いESRを実現しています。これにより、大容量・高電圧で蓄電した大きなエネルギーを、幅広い温度や周波数帯において小さいロスで効率的に取り出すことができます。
この特長を活かして、出力に制約のあるバッテリー機器や小型電源でピーク出力用の補助電源として使用することができます。例えば、デジタルビデオカメラやデジタルカメラでは、フラッシュ用の補助電源として30W以上の高出力をEDLCから瞬時に出力することで、高輝度LEDフラッシュシステムの実現が可能になります。また、高画素化が進むスマートフォンでも同様の機能をバッテリーに負担をかけることなく実現することが可能になります。
今後さらに小型化や低ESR化を進め、より多くのバッテリー機器や小型電源機器の高性能化やエネルギーの効率的な使用に貢献できるデバイスの開発を進めていく予定です。
ムラタのEDLCの特長
構造
積層構造による高電極密度と電気化学システムの最適化により大容量・低抵抗を達成
用途例 (高輝度LEDフラッシュシステムでの使用例)
電流値8A (1灯当り2A×4灯) で33msec間点灯。カメラ用のフラッシュとしてLEDを用いて実用的な性能を得ることが可能