巻頭言

Murata's Innovative Technology and Reliability Focus Help Accelerate Automotive Evolution

株式会社村田製作所 代表取締役社長 村田 恒夫

1951年京都府に生まれる。1974年同志社大学経済学部卒業、株式会社村田製作所入社。
1988年Murata Europe Management GmbHゲシェフツフューラー。
1989年村田製作所取締役、常務取締役、専務取締役、副社長を経て、2007年代表取締役社長に就任。
趣味は、蘭の栽培、写真撮影。

クルマとエレクトロニクスのかかわりが、急に幅広く、深くなってきていると感じます。動力源に電気エネルギーを使うクルマでは、ハイブリッド車に続いて電気自動車も実用で使われはじめ、さらには燃料電池車もその登場予定時期が報じられるまでになっています。これらが電子制御されるのはもちろんですが、エンジンを使うクルマでも、制御系の電子化で安全に効率的に走ることをはじめとした機能の実現がますます進んでいます。安全運転の面では、あくまでドライバーが主となりながら、警告などでドライバーをサポートするシステムが、クルマに次々と搭載されています。エレクトロニクスを駆使した自動運転が、可能性として現実のものになりつつあります。

一方で、車内空間の快適性、利便性の向上という面では、携帯機器が車内で無線でつながることで、クルマに乗る人の楽しさ、便利さが大きく広がりました。路車間、車車間の通信も加わり、情報と娯楽、つまりインフォテインメントは充実していきます。センサをキーデバイスとして随所に配置して無線でつなぐ。クルマが情報の受け手だけでなく出す側にもなり、無線で種々のつながりを持つ。そのような方向に、着実に向かっています。

そのようなカーエレクトロニクスの未来とムラタの結びつきを、この『metamorphosis』第17号で感じていただければと思います。私たちが持っている商品、技術を使っていただける場合もあるでしょう。これから一緒にモノを作り出せることもあるでしょう。事業譲渡や提携で、これまで持っていなかった商品や技術も獲得できました。変わっていくクルマに、ムラタからも新しさをご提供したいと思います。

それとともにクルマには、「走る・曲がる・止まる」という面での信頼性を徹底して追求するという、妥協できない基本があります。それは、カーエレクトロニクスでも変わりません。新しいものには未知の危険が潜んでいるかもしれません。ムラタは、これまで積み重ねてきた知見の活用、原理の追究、社内外の協働により、新しさと信頼の両方でお客さまとともに歩みたいと願っております。