我々の生活をより快適に、より安全なものに―。
こうした要求を満足させるため、インフラ系設備や電装などの大電流化が進んでいます。インフラ系設備や電装などの大電流化にともない、部品も大電流に対応する必要があります。これをクリアするためには、二つの特性を改善する必要がありました。
一つは、大電流を流しても部品が発熱しないことです。これは直流抵抗を小さくすることで導電体の発熱を抑制し、部品の発熱を小さくしました。抵抗の低い金属を使用した導電体 (内部電極) を短く、厚く、広く形成することで直流抵抗の狙い値1mΩ以下を達成し、課題をクリアしました。
もう一つの課題は、大電流を流してもノイズが十分に除去できることです。フェライト (磁性体) はたくさん電流を流すと磁気飽和し透磁率が下がっていきます。透磁率が下がると、ノイズ除去効果が小さくなり、誤動作やノイズが生じたりします。こうならないために磁気飽和を緩和させる必要があります。そこで、部品内部の導電体の間にギャップ (非磁性体) を設けました。このギャップを設けることで磁気飽和が格段に改善され、大電流を流しても少ない電流を流したときと同じぐらいノイズが除去できるようになりました。
これらの二つの課題を解決することで、大電流に対応したフェライトビーズ*1を3.2 (L) ×2.5 (W) ×2.0 (t) mmの小型サイズで完成しました。今後、ゲーム機やFPDテレビ、BDレコーダなど大電流が流れる電子機器への展開が考えられるため、必要な電流値にあったフェライトビーズの開発を進め、快適、安全、楽しい生活に寄与していきます。また、10Aを超えるフェライトビーズの需要もあるため、さらに大電流に対応したフェライトビーズを開発していきます。