基地局のアンテナは光ファイバーでつながっています。もし、災害時に津波で道路が流されたり、電柱が倒れたりすると、そこに埋められた光ファイバーや張り巡らされた回線が切断されてしまいます。こうした場合の対策として、まず、「マイクロ波無線の稼働」を考えています。マイクロ波無線は、広帯域の信号を伝送できるので、テレビや多重電話などの中継伝送に用いられています。このマイクロ波無線を、見通し距離約50kmごとに基地局を設けて増幅中継していきます。現在すでに、両方が稼働していて、万一に備えています。
対策の二つ目は、「アルコールで稼働する燃料電池」の用意。電波を飛ばすためには電気が必要です。電力は飛ばせないので、アルコールで3日間動かすことのできる燃料電池を用意しています。つまり、災害から3日のうちにアルコールを届ければ、通信は途絶えないということです。
三つ目は、「通信エリアのコントロール」。通信が生きていて、基地局がネットにつながっていれば、遠隔でコントロールすることができます。電波を上空に向けて発信すれば遠くまで電波が届き、エリアを広げることができるわけです。普段はアンテナが干渉するので、下に向けていますが、災害時にはエリアをコントロールして被災地の方々が使えるようにします。
こうした対策で、南海トラフ巨大地震の際にも96%のユーザーの通信を確保しようとしています。平常時のようにスマートフォンがサクサク動くわけではありませんが、「災害伝言板」や「災害用音声お届けサービス」のようなものは十分に動きます。
関西においては、和歌山や奈良などの山林地区で、川の氾濫で浸水被害などが起きるケースもあります。こうした場合にも、同様の仕組みを用いて通信を確保するように考えています。“何か困ったことが起きたらドコモ”といわれるように、安心安全の面でナンバーワンの取り組みを行っています。