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ノートパソコンにおけるバッテリーラインのMLCC鳴き対策


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1. はじめに

2. 鳴きの発生メカニズム

3. 鳴きの評価方法

4. ノートパソコンの評価

5. ノートパソコンの鳴き対策置換え事例

6. まとめ

7. 鳴き対策部品の紹介

8. 『鳴き』の発生メカニズム(補足)


SubTitleIconNo01 はじめに


従来、電子機器に多くのタンタルコンデンサやアルミ電解コンデンサが使われていましたが、近年は製品の小型化や信頼性の問題などから、セラミックコンデンサへの置換えが行われてきました。
電子機器の多機能化や静寂化にともない、ノートパソコンや、携帯電話(スマートフォン)、デジタルカメラ、薄型TVなどの電源回路において、従来目立たなかったセラミックコンデンサが原因の『鳴き(音)』が、大きな設計課題の一つになっています。

ノートパソコンでは、バッテリーラインで使われているコンデンサによる『鳴き(音)』が問題になることがあります。
スリープ状態/カメラ起動時など動作モードを変えると、ノートパソコン内部の動作が変わるため、動作モードによって『鳴き(音)』の大きさが変わり、聞こえ方も異なります。

こちらでは、コンデンサの鳴きの発生メカニズムと、ノートパソコンのバッテリーラインの『鳴き(音)』の評価・対策方法をご紹介致します。


 ノートパソコンで『鳴き(音)』が発生しやすい動作モード
  • スリープモード
  • 液晶バックライトのPWM調光
  • カメラ起動
  • 動画再生


SubTitleIconNo02 鳴きの発生メカニズム


なぜセラミックコンデンサが原因で『鳴き(音)』が発生するのでしょうか?

以下に、『鳴きの発生メカニズム』と、弊社で行っている『鳴きの評価方法』についてご説明致します。


SubTitleIconNo03 鳴きの評価方法


1) 音圧レベル測定

「音圧レベル」を測定することで、鳴きを定量化(数値化)します。
無響箱の中で、測定物を動作させた状態にして、マイクを介して、騒音計で音圧レベルを測定します。
また評価・対策のために、FFTアナライザで音圧レベルの周波数特性を確認しています。



2) 基板の変位量測定

基板の変位量測定を行うことによって、コンデンサが、基板を振動させていることが確認できます。

測定物を動作させた状態で、レーザーを基板に照射し、反射光のドップラーシフトを検出して基板の変位量を測定します。


3) 電圧変動測定

コンデンサ端の「電圧変動」を測定することで、対象コンデンサが鳴きの原因となる可能性があるかどうか調査をすることができます。

測定物を動作させた状態で、コンデンサに 可聴領域周波数(20Hz-20kHz)のリップル電圧が印加されているか確認します。



4) 音圧レベルと基板の変位量の関係

コンデンサが鳴きの原因になっている場合は、基板の変位量が音圧レベルと同じ周波数で高くなります。
(赤点線枠内)




5) 音圧レベルと電圧変動の関係

コンデンサ端の電圧変動スペクトラムが、音圧レベルのスペクトラムと同じ周波数で大きくなっていると(赤点線枠内)、そのコンデンサが鳴きの発生原因と判断できます。


SubTitleIconNo04 ノートパソコンの評価


1) 動作モードによる音圧レベルの違い

ノートパソコンは、スリープ状態/カメラ起動時など動作モードを変えると、ノートパソコン内部の動作も変わるため、音圧レベル/基板の変位量/電圧変動も変わります。
鳴きが発生しやすい動作モードで評価を行う必要があります。



2) ノートパソコンで『鳴き』の原因になりやすいコンデンサとは

2)-1 ノートパソコンのバッテリーライン模式図

ノートパソコンでは、バッテリーライン(DC-DC converterの一次側)に、コンデンサが 多く使われています。このバッテリーラインにセラミックコンデンサを使うと鳴きが発生する場合があります。



2)-2 バッテリーラインのコンデンサが『鳴き』の原因になりやすい理由

  • 静電容量の大きいコンデンサを使用。
    ⇒ 高誘電率系の誘電体は電界による膨張/収縮が大きい。
  • CPU,カメラ,RFモジュールなどの各回路に電力を供給する。
    ⇒ 電圧変動が起きやすい
  • バッテリーラインの電圧が10-20Vと高い。
    ⇒ 電界に比例する逆圧電歪みが発生しやすい。


3) ノートパソコン バッテリーラインの回路ブロック図



SubTitleIconNo05 ノートパソコンの鳴き対策置換え事例


バッテリーラインで、『鳴き』が問題になってる場合
バッテリーラインのコンデンサ (12V電源ライン)

1) コンデンサの搭載箇所

バッテリーラインのコンデンサは、3216サイズ/10uF品が計21個です。
CPUなど5種類の回路(回路A~E)に、分かれて実装されています。
コンデンサの搭載箇所

2) バッテリーラインの回路ブロック図

ピンク色枠内のバッテリーラインのコンデンサを対象に、鳴きの評価・対策を実施しました。





3) 置換え評価結果

以下に示すデータはムラタ実施の評価で得られた参考値です。音圧レベル低減の効果は基板の形状、部品の実装状態などの条件によって異なります。あらゆるケースにおいて効果が得られることを保証するものではありません。

動作モードにより音圧レベルが異なるため、音圧レベルの高い、カメラ起動,スリープ状態,動画再生(液晶画面輝度max),待受け画面、の4種類の動作モードについて鳴き評価・対策を行いました。

※全ての評価は、FULL充電後、ACアダプタを接続した状態で行っています。



バッテリーラインのコンデンサを全て鳴き対策部品「KRM」に置換えると、以下のように音圧レベルを低減することができました。


次に各動作モードの結果詳細を示します。

<置換え結果詳細 (1/4) > カメラ起動




<置換え結果詳細 (2/4) > 動画再生



<置換え結果詳細 (3/4) > スリープ状態



<置換え結果詳細 (4/4) > 待受け画面



各回路ごとに鳴き対策部品(KRM)に置換えた時の音圧レベルの変化 (1/2)

バッテリーラインのコンデンサ(ピンク枠で示している所)は、DC-DC converterで各回路に分岐する前は、同じ電源ラインにあるためほぼ同じ電圧変動をしています。
このバッテリーラインのコンデンサを各回路ごとに、鳴き対策部品に置換えて評価をしました。



各回路ごとに鳴き対策部品(KRM)に置換えた時の音圧レベルの変化 (2/2)

上図に示すバッテリーラインのコンデンサを、回路[A-E]の順に、通常のコンデンサ(GRM)から、鳴き対策部品(KRM)に置換えていきました。
KRMに置換える数量を増やしていくことで、音圧レベルは徐々に低減しています。

バッテリーラインの鳴き対策は、一部のコンデンサだけではなく、全てのコンデンサを鳴き対策部品に置換えることで、より音圧レベルを低減することができました。



SubTitleIconNo06 まとめ


1)『鳴き』の発生メカニズム

コンデンサによる鳴きは、高誘電率系材料のコンデンサに交流電界が印加されると、コンデンサが変形振動し、基板を振動させ、その振動の周期が可聴領域の周波帯(20Hz~20kHz)となった時、『耳障りな音』として問題になります。

2) 『鳴き』の評価方法

音圧レベルの測定を行い、『鳴き』の定量化を行います。
電圧変動/基板の変位量の測定・評価を行い、鳴きの原因調査を行います。
鳴き対策部品に置換えて、音圧レベルの測定・評価を行い、効果を確認します。

3) ノートパソコンで『鳴き』が発生しやすいコンデンサと動作モード

ノートパソコンでは、バッテリーライン(DC-DC converterの一次側)にコンデンサが使われています。
このバッテリーラインは、一般的に電圧が高く、また消費電力の大きい回路に電力を供給するため、電圧変動が起きやすく、コンデンサにとっては鳴きが発生しやすい動作条件になります。
また、『鳴き』が発生しやすい動作モードとして、スリープモード/カメラ起動/液晶バックライトのPWM調光/動画再生があります。

4) ノートパソコンの置換え評価

動作モードを変えると、ノートパソコン内部の動作も変わるため、鳴きが発生しやすい動作モードそれぞれで評価を行う必要があります。
バッテリーライン(DC-DC converterの一次側)にセラミックコンデンサが複数使われている場合、バッテリーラインのコンデンサの一部を鳴き対策するのではなく、全てのコンデンサを鳴き対策することで、音圧レベルをより低減することができました。

SubTitleIconNo07 鳴き対策部品の紹介


<『鳴き』に影響を与える要因と対策>

弊社では、セラミックコンデンサによる影響で鳴きが問題になった場合、鳴きに影響を与える要因によって、鳴き対策部品の使用や部品配置などの提案を行い、鳴き問題の改善に対応をしています。



 



 


SubTitleIconNo08 『鳴き』の発生メカニズム(補足)


積層セラミックコンデンサに用いる強誘電体は、必ず圧電性を有します。
電界をかけると歪みが発生し、チップが膨張・収縮するため、『鳴き(音)』が発生します。