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スマートフォンにおける タンタルコンデンサ置き換え提案 (鳴き対策MLCC編)

スマートフォンのGSM用PAの電源にはタンタルコンデンサ搭載されているケースが多いです。こちらの記事では、スマートフォンに搭載されるタンタルコンデンサ(以降、Taコンと記します)について、積層セラミックコンデンサ(以降、MLCCと記します)に置き換える評価を行いました。
※クリックしていただくと各項目に移動します。
     
 

1. 評価対象について

2. Taコン置き換え案

3. Taコン置き換え評価について

4. 送信特性と電圧変動評価

5. 鳴き評価

6. 評価結果まとめ

7. MLCCに置き換えるメリット

8. まとめ


SubTitleIconNo01 評価対象について


市販のスマートフォンを入手し評価いたしました。バッテリーライン配線図の一部(弊社独自の解析結果です)を下図に示します。 図のように、TaコンがGSM用PAの電源直近に接続されております。

バッテリーラインの配線図

SubTitleIconNo02 Taコン置き換え案


置き換え案を以下に示します。置き換えアイテムとしましては、鳴き対策用MLCC、ZRB18シリーズを選定いたしました。以下の実装写真の様に、実装スペースが50%削減されています。

< 置き換え案 >
C1:Taコン100uF/3216size×1pcs → 鳴き対策用MLCC 22uF/6.3V/1608size×2pcs

Taコン置き換え案


SubTitleIconNo03 Taコン置き換え評価について


置き換え前後で以下の特性について確認をいたしました。

Taコン置き換え評価について_評価項目


1)送信特性

PA電源のコンデンサは、送信信号品質に影響しますので、コンデンサを置き換える場合は送信特性の確認が必要です。

2) 電圧変動

電源ラインのインピーダンスが変化しますので、ノイズの重畳も変わる可能性があるので、電源ラインの電圧変動を確認する必要があります。

3) 鳴き評価

GSM PAは、可聴周波数(217Hz)のバースト動作となりますので、鳴き評価が必要です。ここでは、音圧レベルを評価いたします。


SubTitleIconNo04 送信特性と電圧変動評価


下図のような測定系にて送信特性と電圧変動の評価を実施しました。

送信特性評価と電圧変動評価

 
 

・送信特性の評価結果(1)

<送信特性 GSM850MHz GSM900MHz mode>

送信特性 GSM850MHz GSM900MHz mode

置換え後の送信特性はGSM規格を満たしております!!

 
 

・送信特性の評価結果(2)
<送信特性 GSM1800MHz GSM1900MHz mode>

送信特性 GSM1800MHz GSM1900MHz mode

置換え後の送信特性はGSM規格を満たしております!!

 
 


・電圧変動の評価結果(1)

<GSM850MHzモード、GSM900MHzモードの結果>

【電圧変動の評価結果】 GSM850MHzモード、GSM900MHzモードの結果

 

電源ラインに重畳するノイズのレベルが小さくなっています!!

 (7~8%改善)

 
 
 


・電圧変動の評価結果(2)

<GSM1800MHzモード、GSM1900MHzモードの電圧変動の結果>

【電圧変動の評価結果】 GSM1800MHzモード、GSM1900MHzモードの電圧変動の結果

 

電源ラインに重畳するノイズのレベルが小さくなっています!! 

(14~22%改善)

 


SubTitleIconNo05 鳴き評価


下図のような測定系にて音圧レベルを評価しました。
評価では、まず同容量の通常品のMLCCを評価し、次に鳴き対策品を評価いたしました。

鳴き評価

 
 

【評価結果】

鳴き評価_評価結果_初期(Taコン) vs 置き換え案(ZRB)

音圧レベルは、改善し、ほぼ同等となりました。(有意差ありません。)


SubTitleIconNo06 評価結果まとめ


バッテリーラインに直結するGSM用PA電源ラインのTaコンの置き換え評価をいたしました。
本置き換え評価では、GSM通信時の①送信特性と②バッテリーラインの電圧変動、③鳴き評価を実施しました。

1)送信特性

送信特性は、初期とほぼ同等であり、GSM公規格を満たしております。

2) 電圧変動評価

電圧変動⊿Vは、初期より7~22%小さくなっています。

3) 音圧レベル評価

音圧レベルは、Taコンに対して同等となりました。

SubTitleIconNo07 MLCCに置き換えるメリット


MLCCに置き換えるメリットは他にないでしょうか?以下に示します。

MLCCに置き換えるメリット



<特性上のメリット>

特性上のメリット_インピーダンス – 周波数特性


上図より、100kHz以上の周波数では、Taコン(MnO2) 100uFよりもMLCC 22uFの方が、静電容量が小さいにもかかわらず、インピーダンスが小さくなっていることが判ります。これは、MLCCの方がESR、ESLが小さいためです。高周波域では、MLCCの方がノイズ低減効果が大きいことがいえます!!
 
 

<自己発熱(縦軸) vs. リップル電流(横軸)>

特性上のメリット_自己発熱(縦軸) vs. リップル電流(横軸)


MLCCは、低ESRのため、自己発熱量が小さくなります。
 
 
<直流破壊電圧特性>

特性上のメリット_直流破壊電圧特性


MLCCは、異常電圧に強いです!!

SubTitleIconNo08 まとめ


GSM用PA電源ラインのTaコンの置き換え評価を行いました。

また、MLCCに置き換えるメリットを紹介させていただきました。 

送信特性・電圧変動・鳴き評価

  • 電圧変動⊿Vは初期より7~22%改善しています。 
  • 送信特性は、初期とほぼ同等であり、GSM公規格を満たしています。 
  • 音圧レベルは、初期と同等レベルとなっております。

MLCCに置き換えるメリット 

  • MLCCは、低ESR・ESLのためノイズの低減効果が大きいです。 
  • MLCCは、低ESRのため自己発熱量が小さいです。 
  • MLCCは、耐電圧が高いです。 

本書の置き換え案を以下に示します。

置き換え案 C1:Taコン100uF/3216size×1pcs → 鳴き対策用MLCC 22uF/6.3V/1608size×2pcs 置き換えアイテム型番:ZRB18AR60J226ME01

置き換えをご検討ください。ご協力させていただきます。