そんな中、量販店向けにLED電球のプライベートブランド品を製作するコンペ企画が持ち上がった。N社は今後のLED電球における生産基盤を整える絶好のチャンスと位置づけ、このコンペに参加することにした。
従来から品質にこだわっているN社のLED電球は、他社に先駆け「雑音端子電圧」のノイズ規格は対策済みであったが、ブームに乗って低価格を武器にした粗悪品と差別化ができる特長を模索しようと、更なる情報収集を行った。しかし強力な訴求ポイントを見つけ出すことがなかなかできなかった。
情報収集を進める最中に、量販店からの急な要望で国際規格の「放射ノイズ」を満足するようにとの指示が舞い込んだ。しかも製造コストはこの規格の対策を施しても数%の追加しか認められなかった。
コストを抑えながら、「放射ノイズ」という高いハードルに脱落する電球メーカーが出始める中、N社は攻防に出たが「放射ノイズ」の規格を満足するための情報が少なく、製品作りの課題は山積するばかりであった。