EMI除去フィルタ(EMC・ノイズ対策)LTEのノイズ問題について

LTEとは

LTE (Long Term Evolution) とは、現在主流の3G (第3世代) 携帯電話方式「W-CDMA」の高速データ通信規格「HSDPA」を、さらに進化させた次世代携帯電話の通信規格の一つです。
3G (W-CDMA) の標準化団体3GPP (3rd Generation Partnership Project) にて、「3GPP Release 8」として仕様が標準化されています。

特徴

受信100Mbps/送信50Mbps以上の高速データ通信を可能としています。周波数帯域を最大20MHzまで拡大しているため、理論上の最大伝送速度は、受信326.4Mbps/送信86.4Mbpsです。
同じ周波数帯域幅であっても、3G/3.5Gに比べてデータ通信が高速なため、多くのユーザーを収容できる余地があります。
また接続遅延を最低100ms以下、無線区間の転送遅延を5ms以下として低遅延を実現しているため、音声通信、動画配信、オンラインゲームなどの利用に適しています。

Image of LTE Features

LTEの動向

スマートフォンの普及やモバイル通信など、携帯電話のデータ通信量が急速に拡大している現在、通信キャリアにとって通信帯域 (容量) の拡大が重要な課題となっています。
高速データ通信および低遅延が可能なLTEは、電波利用効率に優れていることから、世界の大手通信キャリアの多くが、LTEを採用する方針を示しています。今後LTEは急速に普及していくと予想されます。

Image of LTE dissemination

LTE技術とノイズ対策

LTEでは幅広い周波数範囲 (700MHz~2.7GHz) を採用し、各国・通信キャリアにより周波数帯 (Band) が割り当てられています。
この周波数の利用効率を向上させるために、複数のアンテナで送受信を行うMIMO (Multi Input Multi Output) や基地局の間で多元接続を実現するSDMA (Space Division Multiple Access) といったアンテナ技術を導入しています。また多重化方式にはOFDMA (Orthogonal Frequency Division Multiple Access) /SC-FDMA (Single Carrier Frequency Division Multiple Access) を採用しています。
一方、無線通信機能を持つ携帯端末では、イントラシステムEMC (機器内のノイズが無線通信に干渉する受信感度抑圧) が問題となります。LTEの高速通信技術に対応するためには、さらなるノイズ対策が重要となります。

幅広い周波数帯域

世界中で販売する端末では、採用する全ての周波数帯 (Band) においてノイズ対策を施さなければなりません。

Image of frequency bands

複数の送受信アンテナを用いた通信方式

LTE携帯電話方式では、アンテナを複数持つMIMO方式を採用し、高速な通信を実現しています。

Image of MIMO

携帯電話内部で発生したノイズがアンテナに干渉すると、無線感度が低下し、通信品質が悪くなります。そのため、ノイズ対策によって干渉を抑える必要があります。 (イントラシステムEMC)
LTEでは複数のアンテナによって高速通信を実現しているため、すべてのアンテナについてノイズ対策を行う必要があります。

Image of noise interference