ノイズ対策技術 / 事例紹介(民生)
USB4におけるノイズ対策-2
INDEX
- USB4の規格と普及
- USBとThunderboltの統合
- Thunderbolt3とUSB4の仕様・比較
- USBで予想されるノイズ問題
- USB4のノイズ対策方法
- 放射ノイズ測定
- 放射ノイズ測定結果
- イントラシステムEMC-DUT(Thunderbolt 3対応add inカード)の概略
- イントラシステムEMC-Wi-Fi受信感度への影響の評価
- イントラシステムEMC-Wi-Fi受信感度の測定結果(対策なし)
- イントラシステムEMC-アンテナに結合するノイズの評価
- イントラシステムEMC-アンテナに結合するノイズ 測定結果(対策なし)
- イントラシステムEMC-近傍ノイズ測定(対策なし)
- イントラシステムEMC-対策部品の挿入ポイント
- イントラシステムEMC-受信感度 測定結果(対策後)
- イントラシステムEMC-アンテナに結合するノイズ 測定結果(対策後)
- 信号波形確認-アイパターン測定手順
- 信号波形確認-アイパターン測定
- まとめ
5. USB4のノイズ対策方法
USB4通信時のノイズ対策方法としては、
- ホストとデバイスの差動伝送ラインにコモンモードチョークコイル(CMCC)を搭載する
- CMCCはIC近傍に配置する
- 配線からの放射を防ぐぐことを考慮したCMCC配置にする
これらの対応策がポイントとなりノイズ対策に有効となります。
例として、USB4、USB3.1Gen2、PCI Express、DisplayPort通信が可能なホスト機器、デバイス機器の組み合わせにおけるコモンモードチョークコイルの搭載箇所の簡易図を記載しています。
ムラタが推奨するコモンモードチョークコイル
-
0.65×0.50×0.30mm寸法公差±0.05mmの小型・薄型タイプで高速差動伝送ラインの信号波形に影響を与えることなくノイズ対策が可能です。
6. 放射ノイズ測定
- PC内部でUSB4の通信が行われた時の動作状態を模擬するために、Thunderbolt 3やDisplayPort、Ethernet、USB通信ができるドッキングステーションとPCを接続して3m遠方の放射ノイズレベルの測定を行いました。
- ホスト機器・デバイス機器以外からのノイズを除外するために、ホスト機器・デバイス機器以外の機器やそれらとの接続ケーブルにはシールド加工を行いました。
7. 放射ノイズ測定結果
測定結果
MHzおよびGHz帯において、規格値を超えるようなノイズは観測されませんでした。
十分にマージンを確保できており、USB4においては、放射エミッションは問題にならない可能性が高いと考えられます。
8. イントラシステムEMC-DUT(Thunderbolt 3対応add inカード)の概略
次に、イントラシステムEMCの影響を調べるために、USB4の代わりにThunderbolt 3対応add inカードを使ってノイズ評価を行いました。
Add inカードにはThunderbolt 3対応ICのみが搭載されています。
- 構成について
PCI Express信号(8Gbps x4レーン)、DisplayPort信号(5.4Gbps x4レーン)をカード上のThunderbolt3 ICに入力し、Thunderbolt3 ICがThunderbolt3信号(20Gbps x2レーン)を生成し、Type-Cコネクタから出力する構成となっています。
9. イントラシステムEMC-Wi-Fi受信感度への影響の評価
基板配線から放射されるノイズの影響をチェックするために、DUTのみシールドBOXに収納し、近接させたスマートフォンのWi-Fi受信感度の測定を行いました。
USB4の搭載が見込まれるノートPCでは、Wi-Fi用のアンテナの搭載位置がディスプレイからメインボードに変わっていくトレンドとなっており、差動ラインとアンテナの距離が5cm程度に近づくものと予想されます。
そのため、本評価においても、基板配線とスマートフォンは5cm離しています。
(ノートPC内部のアンテナと信号ライン間の距離を模擬しています)