ノイズ対策技術 / 事例紹介(民生)

Thunderbolt™3のノイズ対策

1. Thunderbolt ™ 3とは?

  • Thunderbolt™はIntel社が開発した、通信速度が最大40Gbpsに達する高速なデジタルインターフェイスです。
    PCI-Expressを基盤とした技術から発展し、改訂を重ねてThunderbolt™3が定められています。
  • 2019年にこの技術がUSB4.0の標準仕様として採用されました。高速な汎用インターフェイスとして普及することが期待されています。
  • Thunderbolt™3におけるノイズ状況や対策に適したノイズフィルタについて検討しました。
図1:インターフェースにおけるデータ転送速度の比較を表しています。Thunderbolt3はもっともデータ転送速度の速いインターフェースです。(20Gbps/lane)
図1. インターフェースにおけるデータ転送速度の比較

2. Thunderbolt ™ 3ノイズ評価の代替方法

Thunderbolt™3のノイズ評価のための試料が入手困難であるため、 Thunderbolt™3と類似した技術のインターフェイスであるUSB3.1Gen2のデータをもとにノイズの状況や対策方法について推定していきました。

Thunderbolt™3とUSB 3.1 Gen2の技術要件の比較

 

  Thunderbolt™3 (evaluation case)
USB3.1 Gen2
Transfer Data Rate 20Gbps x1lane
※Max:40Gbps(20Gbps x2lane)
10Gbps x1lane
Number of Data lanes Data 2lane Data 1lane
Connector, Cable Connector: USB Type-C
Cable: dedicated cable
Connecter: USB Type-C
Cable: dedicated cable
Receiver EQ Must Must
Characteristic Impedance
of transmission line
90ohm plus minus 5% Cable:
90ohm plus or minus 5ohm
Connector:
90ohm plus or minus10ohm
(transmission line no Regulation)
Third party certification exam required Voluntary restraint

3. USB3.1におけるノイズ状況

  • USB3.1 の放射雑音の測定(Gen1&Gen2)

ホストPCに接続したUSB3.1対応SSDの通信を行い、放射雑音を測定しました。
(Gen1とGen2両方の動作モードで測定)
ノイズ対策としてUSBのTxラインにコモンモードチョークノイズフィルタNFG0QHB542HS2を挿入したときの雑音レベルも確認しました。

図2:USB3.1 Gen1&Gen2のノイズ測定結果とフィルタ挿入効果をグラフで表しています。
図2. USB3.1 Gen1&Gen2のノイズ測定結果とフィルタ挿入効果の確認

USB3.1Gen1通信をした場合 信号基本周波数2.5GHzの2倍の周波数である5GHzにおいて、狭帯域ノイズ(2次高調波)が観測されました。

USB3.1Gen2通信をした場合 信号基本周波数5GHzの2倍の周波数である10GHzにおいて、狭帯域ノイズ(2次高調波)が観測されました。

これらのノイズはコモンモードが主成分となっていることが考えられるのでコモンモードノイズフィルタNFG0QHB542HS2をTxラインに挿入することにより、5GHz,10GHzに見られたノイズに大きな対策効果が得られました。

4. Thunderbolt ™ 3における考察

  • Thunderbolt™3 で予想される放射ノイズ

Thunderbolt™3の通信においてもUSB3.1と同様に通信している信号周波数の2次高調波が狭帯域のコモンモードノイズとして観測されると予測されます。

Thunderbolt™3においては10Gbps/lane,20Gbps/laneのデータ伝送速度をサポートしているため、Thunderbolt™3においては10GHzと20GHzのコモンモードノイズが発生すると推測されます。 

図3:Thunderbolt3で予想される放射ノイズをグラフで表しています。
図3. Thunderbolt™3で予想される放射ノイズ

USB3.1のときと同様、コモンモードノイズフィルタが効果的です。

5. ノイズフィルタのThunderbolt ™ 3信号への影響

  • Signal integrity
図4:ノイズフィルタがThunderbolt3の信号に与える影響を画像で表しています。
図4.フィルタによる信号波形への影響の違い

ノイズフィルタがThunderbolt™3の信号に与える影響を調べました。
従来使われていたノイズフィルタを使用すると、信号のアイパターンが潰れて規格を満たさなくなることが確認できました。
新たに開発されたコモンモードチョークコイルNFG0QHB542HS2を使った場合、規格を満たすレベルにアイパターンを維持することができることが確認できました。

このように、 Thunderbolt™3にノイズフィルタを使用する場合は、従来のフィルタではなく、より高周波の信号に対応した製品を選択する必要がわかりました。

6. まとめ

  • Thunderbolt™3 はUSB4.0に採用されたことにより、広く普及することが予想される
  • Thunderbolt™3 のノイズはUSB3.1Gen1/Gen2と類似したものになると推測される
  • Thunderbolt™3 のノイズ対策では2次高調波のコモンモードノイズ除去がポイントとなる
  • Thunderbolt™3 は信号が高速なので、十分考慮されたフィルタを使用して信号品位を損なわないようにする必要がある。
  • 高速信号に対応して商品化されたコモンモードノイズフィルタNFG0QHB542HS2は、Thunderbolt™3の信号品位を大きく損なうことなく、2次高調波の10GHz,20GHzのコモンモードノイズを効果的に除去することができる。
Thunderbolt3のノイズ対策にはこの商品をおすすめします。NFG0QHB542HS2高周波のコモンモードノイズを除去可能。高速信号への影響が少ない

NFG0QHB542HS2 : 製品の詳細についてはこちらを参照ください

関連リンク: 高速データ転送に対応した「USB3.1のノイズ対策」

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