TVSダイオード(ESD保護デバイス)1章「ESD対策(静電気放電対策)とは?」

ESD(Electro-Static Discharge:静電気放電)・サージとは?

人体と電子機器など帯電した物体同士が接触すると、静電気の放電が発生します。この現象を「ESD:Electro-Static Discharge」と呼びます。人体から発生するESDは数千Vの高電圧であり、この高電圧パルスが、触れた電子機器内部に侵入し、IC回路の誤作動や破壊を引き起こします。このように電子機器内部に侵入したESDが製品やシステムを破壊することを防止するためには、ESDの抑制や除去を行う対策部品を設置する必要があります。

basic01

ESDとサージ(Surge)の違い

前述のとおり、ESDとは帯電した導電性の物体同士が接触、あるいは充分に接近した際に発生する静電気の放電現象のことです。

一方で、サージ(Surge)とは、広い意味では、過渡的な過電圧や過電流全般を意味します。
スイッチON/OFF時などに発生する過電流を「サージ」と呼び、雷によって発生する過電圧・過電流は「雷サージ」と呼ばれています。

ESD対策が必要な場所・場合(ポイント)

ESD対策は人や様々なモノが触れるすべての場所で必要です。たとえば、USB2.0、USB3.0、出力端子、LAN、各種I/Oインターフェースなどのユーザーがコネクタを抜き差しする場所や電気製品の操作ボタン、製造工程で機器が基板に接触する場合や、基板と基板をコネクタで接続する場合などです。これらの場所でESD対策として設置されている部品を「ESD保護素子*」と呼びます。

ESD PCなどのコネクタを抜き差し ボタンを操作 基板と基板を接続

*ESD保護サプレッサ、ESD保護ダイオード、ESD保護フィルタ、ESDプロテクション、ESD保護デバイスなどの総称として、本ページではESD保護素子と表記しています。

ESD保護素子の種類

ESD保護素子には、TVSダイオード、サプレッサ、バリスタ、アレスタがあります。当社では、TVSダイオードを取り扱っております。
TVSダイオードは、静電気(ESD)の過渡過電圧保護用途でご使用いただけます。
USBなどのデータ通信端子の保護や電源端子の保護に適しております。(使用例はこちら
TVSダイオードとバリスタ、サプレッサの違いについては、3章「TVSダイオードとは?」で詳しく説明しています。

ESD保護素子の種類のイメージ画像

ESD保護素子を使うメリット

ESDは左図のように、人の手が触れやすい、外部インターフェースからESDが機器に浸入します。
ESD保護素子がない場合、外部インターフェースの経路から、ESDのような数千Vの高電圧が直接ICに印加され、ICが破壊されてしまいます。ESD保護素子は、ESDによるIC破壊を防ぐ部品として、右図のように外部インターフェースとICの間で、データラインとグランドの間に接続します。
そのため、ESD保護素子には以下2つの機能が必要です。

  1. 通常動作時に、IC駆動電圧でグランドで絶縁し、データラインに悪影響を与えないこと
  2. ESD印加時に、グランドと導通させ高電圧をGNDに逃がすこと
ESD保護素子を使うメリットのイメージ画像1
ESD保護素子を使うメリットのイメージ画像2
  • ESD保護素子は、TVSダイオード、サプレッサ、バリスタを指す

ESD保護素子に必要な機能

通常(数V)
IC駆動電圧でGNDと絶縁されていること
ESD印加時(数千V)
GNDと導通させ高電圧をGNDに逃がす

ESD保護素子の製品マップ

TVSダイオードは、低静電容量/高静電容量・高静電気放電能力を特徴とします。
DC~5Gbpsの通信ラインにおいて、高い静電気吸収を実現できます。
当社では、チップサイズ0402~1006mmサイズを揃えております。
TVSダイオードとバリスタ、サプレッサの違いについては、3章「TVSダイオードとは?」で詳しく説明しています。

ESD保護素子の製品マップのイメージ画像