コンデンサガイド
コンデンサの基礎【第7回】 セラミックコンデンサの静電容量測定法
本コラムはコンデンサの基礎を解説する技術コラムです。
今回はセラミックコンデンサの静電容量の測定方法についてご説明いたします。
1. 測定器
セラミックコンデンサの静電容量の測定には、LCRメーターを用いて測定するのが一般的です。
2. 測定原理
LCRメーターの代表的な測定方式は図に示すような自動平衡ブリッジ法です。その原理は以下の通りです。
DUTとはDevice Under Testの略で、被測定物のことです。高ゲインアンプは、抵抗Rに流れる電流とDUTに流れる電流が等しくなるように、即ちDUT の低電位側(図のL 端側)が常に仮想接地(電位=0)となるように、自動的にゲインが調整されます。そのときの入力電圧E1、出力電圧E2は位相角も測定され、以下の通りとなります。
E1=|E1|∠θ1=|E1|cosθ1+j|E1|sinθ1
E2=|E2|∠θ2=|E2|cosθ2+j|E2|sinθ2
これらと、帰還抵抗RからDUT のインピーダンスZx が求まります。
Zx=R・E1/E2
=R・|E1/E2|・{cos(θ1-θ2)+jsin(θ1-θ2)}
この実部がRx、虚部がXxとなり、得られたXxからXx=j/ωCxにより、DUTの静電容量Cxが求められます。
3. 注意事項
セラミックコンデンサの静電容量の測定においては、仕様書等に記載されている正しい測定条件での測定が必要です。静電容量の公称値などによってその条件が違う場合があるため、注意が必要です。その条件というのは、主に測定前の熱処理、測定電圧、測定周波数です。
また、実際には測定ケーブルを含めた測定端子部の残留インピーダンスやアドミタンス成分が測定結果に影響してくるため、測定端子の補正が必要です。測定端子の補正は、端子先端の直接DUTに接触する部分までの値を測定して、そのインピーダンス等の成分を測定結果から差し引く方法がとられるため、そのための補正値をあらかじめ測定しておく必要があります。補正は、一般にショート補正とオープン補正が実施されます。これらの測定に関する詳しい手順については、以下をご覧ください。
担当:株式会社村田製作所 コンポーネント事業本部セールスエンジニアリング統括部
ペンネーム:マーティン
記事の内容は、記事公開日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
関連リンク
- 公称静電容量通りの値が得られない理由は?
- 積層セラミックコンデンサの静電容量は経時変化するのですか?また、経時変化について注意する点はありますか?
- 積層セラミックコンデンサに直流電圧を印加すると静電容量が変わるのですか? また、静電容量変化について注意する点はありますか?