静電容量の電圧特性

2012/10/15
基礎

カテゴリー:コンデンサPLAZA
こんにちは、みなさん。本コラムはコンデンサの基礎を解説する技術コラムです。
今回は、「静電容量の電圧特性」についてご説明いたします。

電圧特性 
コンデンサの実効静電容量値が直流(DC)や交流(AC)の電圧により変化する現象を電圧特性と言います。
この変化幅が小さければ電圧特性は良好、大きければ電圧特性に劣ると言えます。電源ラインのリップル除去などで使用する電子機器にコンデンサを使用する場合には、使用電圧条件を想定した設計が必要です。

1.DCバイアス特性
DCバイアス特性とは、コンデンサにDC電圧を印加した時に実効的な静電容量が変化(減少)してしまう現象です。この現象は、チタン酸バリウム系の強誘電体を用いた高誘電率系積層セラミックコンデンサに特有のもので、導電性高分子のアルミ電解コンデンサ(高分子Al)や導電性高分子タンタル電解コンデンサ(高分子Ta)、フィルムコンデンサ(Film)、酸化チタンやジルコン酸カルシウム系の常誘電体を用いた温度補償用積層セラミックコンデンサ(MLCC<C0G>)ではほとんど起こりません(図1参照)。
実際に、どのようなことが起こるのか例を挙げて説明します。例えば定格電圧が6.3Vで静電容量が100uFの高誘電率系積層セラミックコンデンサに1.8VのDC電圧を印加するケースを想定します。この場合、温度特性がX5R特性品では、静電容量が約10%減少して実効静電容量値は90uFになります。さらにY5V特性品では、静電容量が約40%も減少して実効静電容量値は60uFになってしまいます。

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図1 各種コンデンサの静電容量変化率-DCバイアス特性(例)


チタン酸バリウム系の強誘電体にDC電圧を印加した場合、電界が小さいときは電束密度(D)と電界(E)は比例しますが、電界が大きくなるに従って向きがばらばらであった自発分極(Ps)が電界の方向に整列し始め、非常に大きな誘電率を示し実効静電容量値が大きくなります。さらに電界が上昇し、やがて自発分極の整列が終わり分極が飽和すると誘電率は小さくなって、実効静電容量値が小さくなります(図2参照)。
このため、積層セラミックコンデンサを選択する際は、カタログに記載されている静電容量を鵜呑みにしてはいけません。適用する電源(信号)ラインのDC電圧成分を印加しながら静電容量を測定し、実効静電容量値がどの程度なのかを把握しておく必要があります。但し、このDCバイアス特性は、印加するDC電圧成分が低ければ低いほど、静電容量の減少幅は小さくなります。最近では、1Vを切る電源電圧(DC電圧)で動作するFPGAやASICなどの半導体チップが登場しています。こうした半導体チップの電源ラインに使用する積層セラミックコンデンサであれば、DCバイアス特性に関する問題は、そう顕著に現れません。

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図2 強誘電体セラミックスに電圧を印加した時の状態