コンデンサガイド

チップ積層セラミックコンデンサが割れないためのレイアウトとは?

最終更新日:2022/07/27

コンデンサを基板にはんだ付けした後の工程で、取り扱い中に基板が曲がるとコンデンサに割れが発生することがあります。これを防止するためには、基板のたわみに対してコンデンサにストレスが加わりにくい方向に配置することが有効です。
ここでは、基板のそりやたわみに対してストレスが加わりにくい部品配置について紹介します。

1)基板のストレス方向と部品搭載向き

図1は基板のストレス方向に対して部品を縦向きと横向きに搭載した例ですが、ストレスの作用する方向に対して部品を横向きに配置することで基板からのストレスを受けにくくすることができます。

基板のストレス方向と部品の搭載向き
図1 基板のストレス方向と部品の搭載向き

耐基板曲げ性試験にて、図1の①、②について評価した結果のイメージを図2に示します。②の方向に配置することで、基板曲げに対する耐性が高くなっており、部品にストレスがかかりにくいことがわかります。

部品の搭載方向による残存率
図2 部品の搭載方向による残存率

2) 基板ブレイク近辺でのコンデンサ配置

基板ブレイクや基板カットは、基板からのストレスが最も発生しやすい工程ですので、注意が必要です。例えば、基板ブレイク近辺に図3のように部品を配置する場合、B、D<C<Aの順でストレスを受けやすくなります。

基板ブレイク近辺の部品配置例
図3 基板ブレイク近辺の部品配置例

では、スリットの有無によって基板がどのように変形するかを見てみましょう。
スリットの有無により、基板歪みがどう異なるか、FEM解析した結果を図4、図5に示します。
モデル図中に示す位置に部品が搭載されていた場合を想定しています。(基板は1.6mm厚のFR4) 
図4はスリットがない場合です。基板のストレスが大きく、部品が搭載された位置では赤色~黄色の引っ張り応力がかかっており、コンデンサに割れが発生する危険性があります。
一方、図5はスリットがある場合ですが、部品が搭載された位置では緑色となっており、ほとんど基板歪が発生していないことが分かります。部品に加わるストレスはかなり小さく抑えることができるため、コンデンサの割れを防止する有効な手段となります。

まとめると、基板ブレイクによるストレスを緩和するには、部品の向きをブレイクラインと平行に配置すること(図3のD)が最も効果的です。また、部品の向きを変えられない場合は、基板の変形を受けにくくするために、スリットを設けること(図3のB)が有効です。

スリットなしの場合のモデルと歪分布
図4 スリットなしの場合のモデルと歪分布
スリットありの場合のモデルと歪分布
図5 スリットありの場合のモデルと歪分布

記事の内容は、記事公開日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

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