電気二重層キャパシタの基礎(前編)
電気二重層キャパシタって何?

2015/03/24
基礎

カテゴリー:コンデンサPLAZA

1.はじめに

村田製作所では、積層セラミックコンデンサに加え、近年、新たな種類のコンデンサ事業を開始し、より多くの用途に向けてソリューションを提供しています。具体的な商品としては、前稿で紹介した高分子アルミ電解コンデンサや、今回ご紹介させていただく電気二重層キャパシタがあります。
前編では、弊社の電気二重層キャパシタとは一体どういうものか、その構造や特徴を、他のコンデンサ等との比較も交えて紹介します。

2.電気二重層キャパシタって?

2-1 電気二重層キャパシタの構造

電気二重層キャパシタ(EDLC:Electrical Double Layer Capacitor)は、セラミックコンデンサや電解コンデンサのような誘電体を有していません。その代わりに、固体(電極)と液体(電解液)の界面に形成される電気二重層(Electrical Double Layer)という状態を誘電体の代わりに利用しています。

図1は、電気二重層キャパシタの構造を表したものです。一般的に電気二重層キャパシタは、電極と電解液(電解質塩を含む)、セパレータ(正負の電極の接触を防止するもの)から構成されています。電極は、集電体上に活性炭粉末を塗布した構成になっています。電気二重層は、個々の活性炭粉と電解液が接する界面に形成されます。電気二重層キャパシタを充電すると、正極側ではマイナスイオンと空孔が、負極側ではプラスイオンと電子が界面を挟んで配列します。このイオンと電子(空孔)が配列した状態を電気二重層と呼びます。これはイオンの物理的な移動により形成されるため、電池のような化学反応を伴いません。そのため電気二重層キャパシタは充放電サイクル寿命に優れています。電極に活性炭を使う理由は、電極表面積を大きくするためです。活性炭表面は細かい穴が開いているため、表面積が非常に大きくなります。表面積が大きければ大きいほど、大きな電荷を蓄えることができるため、電気二重層キャパシタは非常に高い静電容量を実現しています。


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また一口に電気二重層キャパシタと言っても、形状や構造によって主に図2に示される様なものに分けられます。弊社の電気二重層キャパシタはラミネート型です。他の形状との比較については後述します。


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2-2 村田製作所の電気二重層キャパシタの特長
2-2 (1) 弊社の電気二重層キャパシタの主な特長
  • 小型かつスリムなパッケージ (LWT:14.0mm×21.0mm×3.2mm~)
  • 低ESR!!高出力、大きな静電容量 (DMFシリーズ例:45mΩ、5 5V、470mF)
    バッテリーや従来の電気二重層キャパシタに比べ大電流、高出力の入出力が可能です。
    詳細は2-2 (2)、(3)をご参照ください。

  • 優れた充放電サイクル寿命 
    2-1で説明したとおり、化学反応を伴わない充放電機構のため、10万回以上の充放電が可能です。
  • 高信頼性
    機密性の高いパッケージと電気化学システムの最適化により、他の電気二重層キャパシタと比べ、特性劣化を非常に少なく抑えています。詳細は2-2 (3)をご参照ください。

2-2 (2) 他のコンデンサや電池との比較

図3は、横軸で静電容量、縦軸で定格電圧を表し、他のコンデンサと比べた場合の電気二重層キャパシタの位置づけを示したものです。セラミックコンデンサは幅広い電圧に対応していますが、容量は最大でも数百μF程です。それに対し弊社の電気二重層キャパシタは、数百mFから1F程度の大きな容量を有しており、他のコンデンサと比べても非常に高い容量を有しています。


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次に、電解コンデンサや電池と比べた場合の、電気二重層キャパシタのエネルギーとパワーについて説明します。図4において、横軸のエネルギー密度はどれだけ電荷を蓄えられるか、縦軸のパワー密度はどれだけ大きな電気を瞬時に放出できるかを表します。電池は大きな電荷を蓄えられますが、瞬時に放出できる電荷の量は少量です。逆に電解コンデンサは瞬時に放出できる電荷量は多いですが、蓄えられる電荷は少量です。弊社の電気二重層キャパシタはこの中間に位置する性能を有します。つまりは、他のコンデンサと比べて高エネルギーで、電池と比べてハイパワーであると言えます。


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2-2 (3) 他の電気二重層キャパシタとの比較

2-1で触れたとおり、電気二重層キャパシタには図2に示されるように様々な形状のものがあります。
図5は、縦軸に放出される電流を、横軸に放電時間をとり、各形状の電気二重層キャパシタの放電性能を比較したものです。コイン型は電流を少しずつ、かつ長く流すのが特徴です。これが従来型の電気二重層キャパシタです。ラミネート型は大きな電流を、瞬間的に流します。弊社の電気二重層キャパシタもこれにあたります。シリンダー型はその中間のものというイメージです。つまり、弊社の電気二重層キャパシタは、瞬時に大きなパワーが必要な用途に最適です。


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なお、前述のとおり、弊社の電気二重層キャパシタは高信頼性を有します。一般的に、電気二重層キャパシタでは、外部からの水分によりエイジング劣化が生じます。また電解液のドライアップ不良も起こります。村田製作所の 電気二重層キャパシタはこうした問題を改善しています。水分は封止部からパッケージ内部に浸入します。村田製作所の電気二重層キャパシタは、この水分の浸入を防ぐため封止部を小さく設計しています(図6)。

したがって、水分の影響を大きく受けるシリンダー型の電気二重層キャパシタと異なり、水分によるダメージが少なく抑えられます。この最小設計された封止部は、ドライアップ不良の原因となる電解液の蒸発を防止する役割も担っています。このことにより、従来の電気二重層キャパシタに比べて非常に高い信頼性を実現しています。


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3.おわりに

弊社の電気二重層キャパシタは、小型薄型サイズながら、ハイパワー・高エネルギーを実現しています。
高い信頼性も有し、様々な用途に広くお使いいただけます。
製品の詳しい紹介や使用方法につきましては、製品ページをご覧ください。テクニカルノートやアプリケーションノートでより詳細の情報をご覧いただます。
なお、電気二重層キャパシタの基礎(後編)では、具体的な使い方・用途について紹介する予定です。


担当: 株式会社村田製作所 高機能パワーデバイス商品部