高周波回路用インダクタ

弊社高周波インダクタの特徴とその特徴に合った用途をご紹介いたします。
SubTitleIcon6    ムラタの高周波回路用インダクタ

高周波回路用インダクタとは、その名の通り、数10MHzから数GHzまでの高周波数帯域で使用されるインダクタです。
高いQ (Quality factor) 値が要求されるため、空芯構造をしているものがほとんどで、主に携帯電話や無線LANなど移動体通信機などの高周波回路に使用されます。

表.1 携帯電話における回路ブロック毎のインダクタの用途例
用途 目的
マッチング アンテナ・IF部などにおける部品間ライン インピーダンスの不整合をなくし、反射・損失を最小限にさせます
共振 シンセサイザや発振回路 必要周波数を確保します
チョーク RF・IF部に使用される能動部品の電源ライン 高周波成分などAC電流カットします

弊社では、独自の製品開発により、巻線/積層/フィルムの3つの構造の製品をラインアップしています。各製品が持つ特徴を活かして、さまざまな用途にご使用いただくことができます。


SubTitleIcon6    ムラタの技術

1. 3つの工法技術

1. 3つの工法技術


2. High Q 巻線インダクタの技術

0804サイズ化の実現

高周波巻き線品の共通技術に高精細巻線技術、小型コア成型技術を加え、小型化を実現しました。

Realization of 0804 size


3. フィルムタイプインダクタの技術

高精度積層

High Precision Multilayer

高い積層精度により、内径を大きくでき磁束が通りやすく、高Q特性を実現!

微細配線
電極断面形状

微細配線


電極断面形状

細線配線を狭ピッチで実現!
直線性・寸法精度の高い配線を実現!

矩形・高アスベクト電極により、高周波での低損失を実現!



SubTitleIcon6    各構造による特性の違い

1. 巻線構造の特徴

巻線構造は、アルミナのコアに銅線でらせん状に巻いています。
積層/フィルム構造よりも太い線でのコイル形成が可能なため、次の特徴があります。
  • 低直流抵抗化が可能
  • Q (Quality factor) が非常に高い
  • 大電流対応が可能
これらの特徴を活かし、非常に高いQを必要とするアンテナ/PA回路でのマッチング用やIF回路での共振用への使用に適しています。

製品使用例はこちらをご参照ください。


1. 巻線構造の特徴

1. Features of the wire wound structure


2. フィルム構造の特徴

フィルム構造は積層構造ですが、コイルの形成をムラタ独自の微細加工技術によってセラミック材料上へ高精度に実現したチップインダクタです。
非常に高い位置精度なコイルが形成できますので、次の特徴があります。
  • 0603サイズのような小型チップでも、高性能な電気的特性を実現
  • 細かいインダクタンスのステップと狭偏差に対応したラインナップを実現
  • 高いQ、高いSRF
そのため、移動体通信機の小型、軽量のトレンドに対応し、狭偏差や高いQを必要とするRF回路のマッチング用や共振用途に適しています。

製品使用例はこちらをご参照ください。

対象製品
LQP03TN_02/LQP02TN_02 シリーズ 
2. フィルム構造の特徴

2. Features of the film structure
 

3. 積層構造の特徴

積層構造は、セラミック材料とコイル導体を積層し、一体化したモノリシックタイプであり、巻線構造に比べて小型化、低コスト対応が可能です。
巻線構造よりQは低いですが、L値偏差、定格電流、サイズ、価格などの全体的なバランスが良く、幅広い用途に使用できます。
移動体通信機のRF回路のマッチング用、チョーク用および共振用と各種用途に適しています。

対象製品
LQG15HN_02/LQG15HS_02/LQG18HN_00 シリーズ
3. 積層構造の特徴

3. Features of the multilayer structure


4. 構造による特性の違い

Q値

弊社の高周波コイル・1005サイズの構造別 (巻き線、積層) のQの周波数特性をグラフに示します。図1を見てもわかるように、巻き線タイプは積層タイプと比較してQ値が非常に高いことが特長です。
また、フィルムタイプでは、小型の0603サイズ、0402サイズをラインアップしており、同業他社で採用されている積層工法よりもQ値が高いことが特長です。 (図2)

Figure 1: Comparison of Q Characteristics between Multilayer LQG15 Series and Wire Wound LQW15 Series (both 2.7 nH)

  Figure 2: Comparison of Q Characteristics between 0603 Size, LQP03TN Series and Multilayer Products of Other Companies (both 10 nH)

図1: 積層LQG15シリーズと巻線LQW15シリーズのQ特性比較 (ともに2.7nH)
        図2: 0603サイズ、LQP03TNシリーズと同業積層品のQ特性比較 (ともに10nH)


インダクタンスのステップと偏差

弊社の高周波コイル・積層構造の製品とフィルム構造の製品のステップと偏差を下表に示します。フィルムタイプは積層タイプに比べて、コイルを形成する際の位置精度がよいので、L値のばらつきが少く、狭偏差、狭ステップのラインナップを可能にしています。

インダクタンスのステップと偏差


5. まとめ

  巻き線タイプ フィルムタイプ 積層タイプ
構造 1. 巻線構造の特徴 2. フィルム構造の特徴 3. 積層構造の特徴
特長 Q特性が非常に良い
Rdcが低い
超小型
小型で高Q
狭偏差、L値stepが細かい
幅広いL値ラインアップ
使用用途 主にQ値特性が必要なRFマッチング回路/大電流対応のチョーク回路/アンテナマッチング回路
小型化と狭偏差、高Qが必要なPAのマッチング回路/RFマッチング回路
RF部のマッチングやチョーク回路


SubTitleIcon6    インダクタの効果的な使い方

高周波コイルの使用用途は、主に携帯電話や無線LANなどの高周波回路になります。その代表的な使用用途をご紹介します。


1. 巻き線タイプ

弊社のLQWシリーズは、Q値が高いことが特徴です。Q値が高ければ、フィルタの通過帯域内の減衰特性が良好になるためRF部のマッチング回路に使われます。また、アンテナの送受信感度を保つためにアンテナのマッチング用途にも多く使われます。加えて、低Rdc特性を持つことから、大きな電流が流れるチョーク回路にも使われます。


2. フィルムタイプ

弊社のLQPシリーズは、フォトリソ工法で電極を形成することにより、コイルパターンの微細加工が可能なため、小型化が可能で高Q特性をもつことと同時に、L値の狭偏差やステップの細かいL値のラインアップをもつことが特徴です。現在主流になりつつある0603サイズや業界最小0402サイズを幅広くラインアップしており、小型化トレンドに対応しています。使用用途としては、小型化と狭偏差、狭ステップが要求されるRF部のマッチング、共振回路に使われます。また、小型でかつ低Rdcが要求されるチョーク回路にも使われます。


3. 積層タイプ

巻線タイプ、フィルムタイプと比較すると、Q値は低くなりますが、L値のラインアップやサイズ、価格の面からバランスがよく、RF部のマッチング、共振回路やチョーク回路全般に使われています。

代表的な使用例については、アプリケーション製品別使用例をご確認ください。
製品のラインアップはラインアップ一覧をご参照ください。