インダクタ (コイル)インダクタの用語集

インダクタンス、チョークコイル、直流重畳特性などのインダクタに関する用語を解説します。

インダクタンス

インダクタンスとは、ある回路を貫く磁束とその磁束を生じさせている電流との比。電磁誘導の大きさを表す磁束がその回路自身の電流によって生ずる場合を自己インダクタンス、他の回路の電流によって生ずる場合を相互インダクタンスというが、多くは前者の場合に用いる。

インダクタのQ

インダクタのQ(Quality factor)とは、コイルの特性を表すもの。
周波数とインダクタンスが定まっているとすれば、抵抗分が少ないほどQが高いといえる。
次の式で表わされる。

フェライト

フェライトとは、酸化鉄を主成分とするセラミックスの総称。

チョークコイル

チョークコイルとは、高周波の電流の通過を抑制するための電子部品。

自己共振周波数

自己共振周波数とは、インダクタの分布容量とインダクタンスで共振する周波数。共振周波数以上ではインダクタとして機能しない。

  • 共振用・インピーダンスマッチング用・チョーク用の各インダクタにおける「自己共振周波数」は、使用周波数より大きい方が良い。

直流抵抗

直流抵抗とは、直流で測定したときの抵抗値。抵抗値が大きいと電力損失が大きくなる。

  • 共振用・インピーダンスマッチング用・チョーク用の各インダクタにおける「直流抵抗」は、小さいほうが良い。

直流重畳特性

直流重畳特性とは、直流電流を加えたときの特性値の変動。インダクタンスが一定のレベルまで下がる電流を飽和電流という。

許容電流/定格電流

許容電流/定格電流とは、インダクタに流せる直流電流の最大値。温度上昇に基づく許容電流(Itemp)とインダクタンス変化に基づく定格電流(Isat)がある。インダクタンス変化に基づく定格電流(Isat)は、飽和電流(Saturation Current)ともいう。

  • チョーク用のインダクタにおける「許容電流」は、使用する回路の最大電流より大きい必要がある。

使用温度範囲

使用温度範囲とは、インダクタを使用する際の雰囲気温度の許容範囲。使用温度範囲には自己発熱は含まない。

  • 共振用・インピーダンスマッチング用・チョーク用の各インダクタにおける「使用温度範囲」は、セットの使用温度範囲に対応すること。

磁気シールド

電子機器やその一部を導体や導電性の材料あるいは磁性体で覆い、他の電子機器との静電的・磁気的絶縁あるいは電磁波の影響からの絶縁をいう。

磁気飽和

フェライトなどの磁性体に磁界を加えると磁束が発生します。この磁束の発生度合によってインダクタのインダクタンス値が決まります。磁界が大きくなってくると磁界に対する磁束の増加の度合いが下がって、磁界を増やしてもあまり磁束が増えなくなります。これが磁性体の磁気飽和という現象です。インダクタという部品のレベルで見ると、インダクタに流れる電流が増えると磁界も増えるので磁性体の磁気飽和が発生し、その結果、インダクタンス値が低下します。インダクタの磁気飽和特性はインダクタが使用している磁性体の種類や構造によって左右され、電源系に使用するインダクタは大きな電流を流すため、磁気飽和が発生しやすいかどうかが重要になり、この度合いを確認するために、インダクタの直流重畳特性が参照されます。

磁気結合

磁気結合とは、他の回路でつくられた磁束で影響を受け合う状態。

漏れ磁束

インダクタで発生した磁束はフェライトなどの磁性体の中だけにとどまらず、一部の外部空間に漏れ出します。この漏れ出した磁束を漏れ磁束と言います。漏れ磁束がある部分に構造部品などの磁性体が接近すると、インダクタの磁束分布が変化して性能が変わることがあるので注意が必要です。また、他の部品の漏れ磁束と干渉すると、信号の磁気結合による飛び移りなどが発生することがあります。漏れ磁束を減らすために磁気シールド構造がとられているインダクタもあります。

リップル電圧

DC-DCコンバータにおけるリップル電圧とは、出力電圧に含まれる微小な電圧変動成分。