株式会社村田製作所(本社:京都府長岡京市、代表取締役会長兼社長:村田恒夫)は、コイン形リチウム電池のラインアップに、「大電流タイプ」と「準耐熱タイプ」を新たに追加し、本日よりサンプル出荷を開始します。量産品の出荷は2019年1月を予定しています。
IoT(Internet of Things)や車載用機器、FA(Factory Automation)の分野でコイン形リチウム電池の使い方が多様化しています。従来のコイン形リチウム電池は、主にバックアップ電源用として使われていましたが、近年では主電源用としてのニーズが高まっています。こうしたニーズに対応するように、当社が長年培ってきた耐熱技術・利用率改善技術を活かし、これまでの「標準タイプ」と「耐熱タイプ」に加えて「大電流タイプ」と「準耐熱タイプ」を新たに開発しました。
「大電流タイプ」は、「LoRa」、「Sigfox」といったLPWA(Low Power Wide Area)通信方式を採用する物流・資産管理のためのトラッキングデバイスや、屋外インフラ・FA制御機器・環境監視センサなどへの採用を想定しています。また、「準耐熱タイプ」は、車載デバイスや屋外IoT機器(スマートメーターやFA制御機器)を主な用途として想定しているほか、従来の円筒形電池の代わりとしても使用可能です。
コイン形リチウム電池のタイプ一覧
- 最大パルス放電電流*1が従来比で約2倍(50mA)。
- 従来は困難だったピーク電流の高い「LoRa」などのLPWA通信機器にも使用可能*2。
- 放電時間が従来と比べ約3倍*3であり、電池の交換頻度の削減を実現。
*1 23℃の環境下、公称容量の50%まで放電した状態で、2V以上の電圧でパルス放電 (3秒間)できる最大の電流値
*2 使用環境や使用条件により異なる場合があります
*3 23℃の環境下、45mAで3秒放電、33秒無放電のパルス放電条件
LoRa Allianceメンバーで、当社とLoRaWANモジュールを共同で設計しているセムテック・ジャパン合同会社の本橋真一社長は以下のように述べています。
セムテック社のLoRa RFIC SX1261では、ARIB-T108準拠の20mWを出力するために電源電圧3V で約25mA、1.8Vで約42mAの電源電流を必要とします。また、LoRaWANの規格では、最大送信時間は3秒以下です。今回の村田製作所の新しい「大電流タイプ」のコイン形リチウム電池では、最大50mA、3秒までの電流を使用することができるようになったため、LoRaWAN対応の小型センサノードへの応用が大いに期待できます。 |
- 電子部品やICへ対応するため使用温度範囲を−40℃〜85℃へ拡大*4。
- 85℃で100日以上保存した場合でも「標準タイプ」と比べて高電圧を維持。
- 「耐熱タイプ」に比べて価格を抑え、性能・コストのバランスに優れたモデルを実現。
- 「準耐熱タイプ」で最も容量の大きい「CR3677X」*5は、コイン型リチウム電池では最大容量*6で、電子機器の小型化・薄型化に貢献。
*4 「標準タイプ」の使用温度範囲が−30℃〜70℃。
*5 「準耐熱タイプCR3677X」の量産品の出荷は2019年年末頃を予定しています。
*6 2018年10月時点、当社調べ。
本製品は、幕張メッセで2018年10 月16日~19日に開催される「CEATEC JAPAN 2018」および2018年10 月24日~26日に開催される「IoT/M2M展【秋】」に出展予定です。
新製品ラインアップ
タイプ |
モデル名 |
公称電圧 |
使用温度範囲 |
公称容量* |
推奨連続放電電流値 |
最大パルス放電電流** |
直径 |
高さ |
質量 |
大電流 |
CR2032R |
3.0V |
-30~70℃ |
200mAh |
≦3mA |
50mA |
20.0mm |
3.2mm |
3.0g |
大電流 |
CR2450R |
3.0V |
-30~70℃ |
500mAh |
≦3mA |
50mA |
24.5mm |
5.0mm |
6.2g |
準耐熱 |
CR2032X |
3.0V |
-40~85℃ |
220mAh |
≦1mA |
30mA |
20.0mm |
3.2mm |
3.0g |
準耐熱 |
CR2450X |
3.0V |
-40~85℃ |
600mAh |
≦1mA |
30mA |
24.5mm |
5.0mm |
6.2g |
準耐熱 |
CR2477X |
3.0V |
-40~85℃ |
1000mAh |
≦1mA |
30mA |
24.5mm |
7.7mm |
9.5g |
準耐熱 |
CR3677X |
3.0V |
-40~85℃ |
2000mAh |
≦1mA |
80mA |
36.5mm |
7.7mm |
20g |
*標準放電電流で放電した時の容量(温度:23℃、終止電圧:2.0V)
**公称容量の50%まで放電した状態で、パルス長さ3秒で、2V以上を維持できる電流値(23℃環境下)
ここに記載の数値は、保証値ではありません。
当社は、IoT市場向けの電子部品やソリューションサービスなどの提供に注力しています。2017年9月に40年以上の生産実績を持つソニーの電池事業を新たにラインアップに加え、お客様のさまざまなニーズにお応えします。当社はこれからもIoTのさらなる進展に貢献します。
※製品名および会社名はそれぞれの会社の商標または登録商標です。
※2019年2月25日 新製品ラインアップ:610mAhを600mAhに変更しました。
村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカーです。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献していきます。
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