IoTとセンサ技術を活用し、リアルタイムでのセンシングを実現 建設現場の作業者安全モニタリングシステムを開発

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2018/08/28

株式会社村田製作所
代表取締役会長兼社長 村田 恒夫

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株式会社村田製作所(本社京都府長岡京市、代表取締役会長兼社長:村田 恒夫)は、戸田建設株式会社(本社東京都中央区、代表取締役社長:今井 雅則)と共同で、建設作業者の健康状態などを遠隔地からリアルタイムに把握することができるヘルメット取り付け型センサデバイスを用いた作業者安全モニタリングシステム(以下、本システム)を開発しました。


1.開発の背景

建設業界では、作業者の高齢化、就労者数の減少が進み、今まで以上に安全で快適な作業環境を整備するニーズが高まっています。特に、暑さが厳しい建設現場においては作業者の自己管理だけでは、熱中症を予防する水分補給や休憩が十分に行えず、体調が悪化するまで作業環境の問題に気付かないことが課題となっていました。
本システムでは作業者の生体情報をリアルタイムに取得することで、熱ストレスレベル*1を把握することができます。健康状態を見える化することで現場監督者が適切な管理を行い、作業者の安全の確保をより確実に行うことができる労働環境の実現を目指しています。


2.システムの概要

本システムに用いるセンサデバイス(写真)は、既存の作業用ヘルメット(ミドリ安全(株)社製推奨)に装着できるように設計しており、作業の邪魔にならない装着感を実現しています。また、ヘルメットを装着するだけで生体・環境情報を取得できるため、このほかにウェアラブルデバイスを新たに身に着ける必要はありません。
センサデバイスはヘルメット内部の生体情報測定部*2と、作業者周辺の外部環境情報測定部で構成されています。それらの情報を、特小無線*3を利用してゲートウェイ*4に送り、クラウド*5で独自の判定アルゴリズムにより解析*6を行います。その結果、危険と判断された場合は事務所や現場監督にアラートが通知されます(図1,2)。このアラートシステムは建設現場だけではなく、プラントや工場、鉄道保全、電気工事など、作業者がヘルメットを装着する現場でもご利用いただける設計となっています。

写真: センサデバイス イメージ

図1: 作業者安全モニタリングシステム イメージ

図2: アラートシステム イメージ(トライアル)


3.今後の展開

2016年度より開発を始めた本システムは、戸田建設の協力のもと、トライアルを3か所の建設現場で実施しており、2019年春より本格的な量産の開始を予定しています。

現在の本システムは熱ストレスレベルを把握するものとなっていますが、建設現場のさまざまな課題をお聞きしながら、機能拡張を進めていく予定です。

今後も村田製作所はIoTやセンサなどを活用して、社会に役立つ製品やサービスの開発に取り組んでまいります。


用語説明・補足

*1 熱ストレスレベル:周辺の環境、パルスレート、活動量を計測して、総合的に判断する独自のパラメータ。診断を行うものではありません。
*2 生体情報測定部:Elfi-Tech社製(イスラエル)のソフトウェア技術と村田製作所のハードウェア設計技術との組み合わせによって、非接触で精度の高い生体情報の計測が可能。
*3 特小無線:特定小電力無線局。免許を要しない小電力無線局。
*4 ゲートウェイ:異なったプロトコル(規格)を持つデータの相互通信を可能にする仕組みを持つ機器。
*5 クラウド:インターネット経由でコンピューティング、データベース、ストレージ、アプリケーションをはじめとした、さまざまな IT リソースをオンデマンドで利用するサービスの総称。
*6 解析:複数のセンサ情報に基づいた判定アルゴリズムを戸田建設と豊橋技術科学大学との共同研究で実施。

本製品は医療機器ではありません。


関連サイト

ムラタについて

村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカーです。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献していきます。
詳細はこちらのページをご覧ください。www.murata.com/ja-jp

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