株式会社村田製作所(本社:京都府長岡京市、代表取締役会長兼社長 村田 恒夫)と戸田建設株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長 今井 雅則)は、2018年8月より改良を進めてきた建設作業者の生体情報や周囲環境(作業環境)をヘルメット取り付け型センサデバイスでリアルタイムに監視する「作業者安全モニタリングシステム」(以下、本システム)を共同で開発し、この度販売を開始しました。
国内の人口減少に起因する建設就労者の減少、現場の作業者の高齢化が進んでおり、建設業界において今まで以上に安全で快適な作業環境を整備する必要性が高まっています。さらに近年、夏の暑さが厳しくなっており、作業者が熱中症の発症や過労・体調不良といった状態になるまで、作業環境の悪化に気がつかないことが建設現場で問題となっていました。そこで、センサ技術やシステムソリューションの提供にノウハウを持つ村田製作所と戸田建設が協業し、生体情報や作業環境をモニタリングするシステムを2018年8月に開発しました。
本システムは、センサ技術とIoTを活用し、作業者の生体情報と作業環境をリアルタイムに収集することで熱ストレス
※1を把握することができます。計測した数値をクラウド上で解析し、アラートを送信することで、現場監督者が適切に作業者の健康管理を行うことができます。
図①作業者安全モニタリングシステムの概略
図②センサデバイス(右:外部環境情報測定部、左:生体情報測定部)をヘルメットに装着した状態
図③現場監督者に送られるアラートメールの例
本システムの導入費用は、センサデバイスを含めたハードウェア費用とクラウドサービスの利用料となります。導入をご検討いただける場合は、村田製作所スタッフがお客さまの使用される現地に赴き、トライアル導入セット(稼働テスト用として準備)を用いて建築物の構造・高さの確認、電波環境の測定などを行い、導入費用を見積もります。
建設現場の作業者に適したヘルメットの装着性を実現
本システムは戸田建設の施工現場にて、実証確認を実施し、ヘルメット内部に取り付ける生体情報測定部の位置や大きさの最適化、突起物の多い建設現場でぶつかりにくいように外部環境情報測定部の小型化などの改良を重ね、作業者が違和感なく装着できるようなセンサデバイスを完成させました。
大規模な建設現場にも対応したネットワーク環境の構築
建設現場における無線の電波状況や作業者の動線、ゲートウェイの配置などを検証済みです。2018年秋には、敷地面積2万㎡、10階建ての建設現場で実証実験を行い、スムーズな稼働を確認しています。この5月には作業者200名規模の建設現場で本格稼働を開始しました。
建設現場での実証を重ねて実現した使い勝手の良さ
クラウドの利用環境を整備し、アラートを出すロジックの改善や、センサデバイスの作業者への貸し出し、登録、返却、センサデバイスとゲートウェイのペアリングといった一連の流れの利用しやすさ向上などに取り組んできました。さまざまなお客さまが現場で利用しやすいように使い勝手が配慮されています。
※1 熱ストレス:脈拍、活動量、温度、湿度などを計測して、総合的に判断する本システム独自のパラメータ。疾病の診断や予防、予知を行うものではありません。
※2 ヘルメット:ミドリ安全(株)製を推奨。
※3 生体情報測定部:イスラエルElfi-Tech社製のソフトウェア技術と村田製作所のセンサ設計・応用技術の組み合わせによって、非接触で精度の高い生体情報の計測が可能。
※4 特定小電力無線:免許を必要としない特定小電力無線局の仕組みを使った無線システム。本システムは、920MHz帯を利用しています。
※5 解析:複数のセンサ情報に基づいた判定アルゴリズムを、村田製作所、戸田建設、豊橋技術科学大学3者の共同研究で開発。
本製品は医療機器ではありません。
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村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカーです。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献していきます。
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