PoC向けバイアスT回路の設計リソース削減に貢献する設計支援ツールを公開

2020/08/07

株式会社村田製作所(以下、「当社」)は、車載インターフェースのPoC方式※1 に必要なバイアスT回路※2 向けインダクタの選定を支援し、設計リソース削減に貢献するツール Bias-T Inductor Selection Toolを開発しました。本ツールは現在当社ウェブサイトでご利用いただけます。

近年、自動車業界では自動運転やADAS※3 など自動車の高機能化が進み、自動車周辺情報感知のためのカメラやセンサが多数搭載されています。これらのカメラやセンサで感知した多くのデータを遅延なく各種ECU※4 に伝送するために、高速車載ネットワークの重要性が増しています。こうしたなか、高速伝送方式のひとつとして、データ伝送用のインターフェースに電力を重畳して一本の同軸ケーブルで伝送を行うPoC方式の導入が進んでいます。

PoC方式では、負荷インピーダンスの低い電源ラインに高周波信号が流れていかないように、バイアスT回路を設計する必要があります。この回路ではコントロール信号(数百kbps)から映像信号(最大数Gbps)までの広帯域で高インピーダンスの特性が求められます。このため、複数のインダクタを組み合わせて回路を構成する必要があります。また、高周波の信号波形を損なわない部品を選定する必要もあります。これらを考慮しながら、ICメーカーやTier1、OEM各社が設けているバイアスT回路特性として満たすべき基準値をクリアするための部品の組み合わせを選定するにはノウハウが必要であり、設計に多くの時間を要します。

そこで当社は、PoC向けバイアスT回路のアプリケーション研究で得られた知見を活かし、バイアスT回路向けインダクタの選定を支援し、設計リソース削減に貢献するツールを開発しました。これにより、簡単な条件設定だけでターゲットの基準値を満たす部品の組み合わせがすぐに分かります。また詳細条件を設定することで、実測とより整合性の高いシミュレーションを実施することができます。

設計支援ツールの主な特長

  • 簡単な条件設定(図1)だけでターゲット基準を満たす部品の組み合わせが分かる
  • 特定の基準値をアップロードすることで、それを満たす部品組み合わせ選定が可能
  • 基板情報などのより詳細な設定をすることで、実測とより整合性の高いシミュレーションが可能
  • 当社設計研究の知見を加味した選定提案が可能

【図1】Bias-T Inductor Selection Tool 設計支援ツール 画面イメージ

操作マニュアル

使い方はこちらのOperation Manualをご覧ください。

用語説明

※1
  PoC(Power Over Coaxial)方式:信号(AC成分)と電源(DC成分)は別々のラインで送るのが一般的なデータ伝送方式ですが、車載インターフェースにおいては、配線重量の軽量化のためにデータ伝送用のインターフェースに電力を重畳して一本の同軸ケーブルで伝送を行うPoC方式の導入が進んでいます。
※2
  バイアスT回路:信号(AC成分)と電源(DC成分)を分離する回路
※3
  ADAS(Advanced Driving Assistance System):先進運転支援システム
※4
  ECU(Electronic Control Unit):自動車の電子制御装置

ムラタについて

村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカーです。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献していきます。
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