次世代高速ワイヤレスネットワークの構築に貢献するミリ波帯(60GHz)RFアンテナモジュールを開発

  • 通信モジュール

2019/01/21

株式会社村田製作所
代表取締役会長兼社長 村田 恒夫

株式会社村田製作所(本社:京都府長岡京市、代表取締役会長兼社長:村田恒夫)は、次世代高速ワイヤレスネットワークの構築に必要な大容量通信を可能にするミリ波帯(60GHz*1)RFアンテナモジュール(以下、本製品)を製品化し、量産を開始しました。


1.開発の背景

超高解像度(HD、4K)の動画、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)などインターネットコンテンツの大容量化が進み、インターネット通信の高速化ニーズが高まっています。また、有線ネットワークで広域エリアをカバーするには膨大なケーブルと工数が必要であり、構築および維持管理のコストが課題となっています。本製品は、ミリ波帯の無線LAN規格IEEE802.11ad*2に対応することにより、60GHz帯の周波数を使用した次世代高速ワイヤレスネットワークの構築に貢献します。

また、当社が独自に開発したLTCC*3を用いることで、安定した通信品質と高耐熱・高耐湿性を実現し、通信事業者の基地局など屋外での用途に適したRFアンテナモジュールを開発しました。
本製品は次世代無線通信5Gを含む携帯電話の基地局間通信、Wi-Fiホットスポット間通信、スマートシティにおけるワイヤレス通信網など、幅広い用途での活用を想定しています。


2.本製品の特長

本開発品の特長は以下の通りです。
  • 無線LAN規格IEEE802.11adに対応し、1チャネル*4あたりで最大4.62Gbpsの通信を実現
  • 60GHz帯の高精度通信を提供可能な独自開発のLTCC基板により、アンテナのビームフォーミングを最適化。モジュール単体での通信に加え、複数組み合わせて使用する事により通信距離を延伸し、屋外で数100m離れた基地局間をワイヤレスで結び、数Gbpsの通信が可能
  • LTCC基板が有する高耐熱性と低吸湿性により、屋外基地局の環境下でも使用可能な信頼性を実現
  • LTCCが有する低損失な材料特性により、ICとアンテナ間の伝送線路の低損失設計を実現した高効率なアンテナモジュール
  • RFICとアンテナをモジュール化することにより、新規のミリ波RF回路設計が不要となり、ネットワーク機器開発における工数を削減


3.今後の展開

当社では、さらに高速な無線LANを実現するため標準化作業が進んでいる規格(IEEE802.11ay*5)や、次世代モバイル通信規格5Gの実用化も見据え、各種通信モジュール製品の開発を行い、次世代ネットワークの構築に貢献していきます。


*1
  基地局を設置するのに無線局免許が不要な周波数帯のひとつ
*2
  60GHz帯の高周波数帯を使用し、高速通信を実現する次世代無線通信規格のひとつ
*3
  Low Temperature Co‐fired Ceramicsの略:1000℃以下で焼成したセラミックのこと
*4   無線通信における伝送のための周波数帯
*5   IEEE802.11adの後継にあたる高速な次世代規格


ムラタについて

村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカーです。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献していきます。
詳細はこちらのページをご覧ください。www.murata.com/ja-jp

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