スマートフォン無線回路用ハイブリッドマルチプレクサの商品化

  • 弾性波デバイス

2017/04/19

株式会社村田製作所
代表取締役社長 村田 恒夫

要旨

株式会社村田製作所はこのたび、スマートフォン向けのハイブリッドマルチプレクサLMTP3Pシリーズを開発しました。本商品は3つの周波数帯域を分岐することができ、無線回路で用いることにより、アンテナ数の削減を実現して機器の小型化に貢献します。積層セラミックスとSAWフィルタの特徴を融合させた当社独自の技術により、急峻な高減衰特性と広帯域の通過特性の両立を実現しました。4月より量産を開始しています。

補足

近年、スマートフォンの通信速度向上のため、LTE*1通信方式においてキャリアアグリゲーション技術*2、MIMO*3アンテナシステムの導入が進んでいます。LTEの通信周波数は、ローバンド帯域(698~960MHz)、ミドルバンド帯域(1427~2200MHz)、ハイバンド帯域(2300~2690MHz)に分類されており、複数の周波数帯域を同時に利用するキャリアアグリゲーションにおいては、一般的に周波数帯域ごとのアンテナが必要となります。また、複数の送受アンテナを用いて通信速度の向上を実現するMIMOシステムが搭載されることにより、必要なアンテナ数が増え無線回路が複雑化します。
このたび当社が開発したハイブリッドマルチプレクサは、3つの周波数帯域を分岐することができるため、キャリアアグリゲーションにおいては、アンテナ数の削減を実現します。またこれにより、複数のアンテナを必要とするMIMOシステムに対しては設計面積の確保につながり、機器の小型化に貢献することができます。

特徴

  • ローバンド帯域(698~960MHz)、ミドルバンド帯域(1427~2200MHz)、ハイバンド帯域(2300~2690MHz)を受動回路により分波することが可能となりました

  • LTE,GSM送受信用途に対応
  • 寸法 L:3.5xW:3.5x0.9 max mm

品番

LMTP3PAA-J63

用語説明

*1 LTE:Long Term Evolutionの略であり、第4世代通信方式(4G)に分類され、LTEの導入により携帯電話通信網での高速通信が可能となっています。

*2 キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation) : 複数のLTE搬送波を同時に用いて通信速度を向上させる技術。同一の周波数バンドを用いるイントラバンド・キャリアアグリゲーション(Intra-Band Carrier Aggregation)と異なる周波数バンドを用いるインターバンド・キャリアアグリゲーション(Inter-Band Carrier Aggregation)の方式が存在します。

*3 MIMO:Multiple-Input and Multiple-Outputの略であり、複数の送受アンテナを用いて通信速度の向上を実現する技術。LTE、無線LANにて導入が開始されています。

ムラタについて

村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカーです。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献していきます。
詳細はこちらのページをご覧ください。www.murata.com/ja-jp

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