高齢者介護・生活支援用ワイヤレスベッドセンサの開発について

  • センサ

2015/08/27

株式会社村田製作所
代表取締役社長 村田 恒夫

センサノード(SCA11H)(上)とセンサモジュール(SCA10H)(下)

要旨

株式会社村田製作所は、高齢者介護・生活支援用のセンサモジュール(SCA10H)とセンサノード(SCA11H)を開発いたしました。当製品は、ベッドに寝ている人に負担をかけずに、ワイヤレスで体の状態をモニタリングできる機器の構成部品となります。介護施設や病院、自宅で継続的にベッドに寝ている人の状態や各種バイタルサインのデータをモニタリングして無線通信するため、離床検知や睡眠状態の分析などに広く応用することができます。
なお、当製品は2015年10月7日(水)~10月10日(土)に幕張メッセで開催される「CEATEC®  JAPAN 2015」にて展示いたします。

 

背景

近年、高齢化が進み、社会的に高齢者介護の経済的負担が増加しています。このため、介護の質や要介護者の安全を損なわず、かつ、従来よりも経済的な高齢者介護や生活支援の取り組みが求められています。そこで当社は、自動車や産業機器向けのMEMS加速度センサをヘルスケア向けに応用し、ベッドに取り付けてBCG*1(心弾動)を計測するセンサモジュール(SCA10H)とセンサノード(SCA11H)を開発いたしました。BCGのセンシングでは、大動脈から動脈へ流れる血液によって生じる反動がシグナルの役割を果たします。当社の超高感度・低ノイズのMEMS加速度センサを搭載したセンサモジュール(SCA10H)とセンサノード(SCA11H)は、主に体軸の縦方向の反動がベッドに伝わって生じる周期的振動を捉えてBCGを計測します。
ベッドに取り付けて無線通信で体の状態をモニタリングするため、ベッドに寝ている人に直接触れる必要がありません。要介護者や介護者の日常生活を煩わせたり、余分な負担をかけたりせずに済むため、今後、高齢者介護・生活支援において様々なケアを提供する可能性が大きく広がっていきます。

*1 BCG : Ballistocardiologyの略。心弾動。

特長

  • 当社の超高感度・低ノイズのMEMS加速度センサとマイクロコントローラに組み込まれたインテリジェントなアルゴリズムが一体となり、離床、心拍数、心拍変異度、拍出する血液量、呼吸数などの各種バイタルサインを計測します。
  • 計測したデータをお客さま側でシステムとしてまとめることにより、睡眠状態のモニタリング、異常事態の発生などの複雑な測定をすることが可能になります。 
  • センサモジュール(SCA10H)は、「BCGの計測機能を別のデバイス(病院用ベッドなど)に組み込みたい」、あるいは「自社独自の最終製品を作りたい」との要望に応えることができます。
  • センサノード(SCA11H)は、「個々の機器を設計せず、それらを統合するシステム設計やサービスの創造に注力したい」といったソフトウェア会社やシステムインテグレーターに適しています。

用途

自宅や介護施設、病院などのベッドに寝ている人の簡単な離床検知、睡眠状態検知
(ただし、集中治療室や臨床分析での使用を意図したものではありません)

 

品番および特性

  • センサモジュール(SCA10H)
    MEMS加速度センサとマイクロコントローラが搭載されたはんだ付け対応PCBモジュール
  • センサノード(SCA11H)
    センサモジュール(SCA10H)と無線LAN接続モジュールをIP55準拠のプラスチックケースに収めた部品
センサモジュール (SCA10H)
寸法 W x L x T
28 x 26 x 7 mm
供給電圧
8 - 10 V
電流消費
8 mA
出力データレート(ODR)
1 Hz
パルス検出レート
40 - 120 bpm

センサノード (SCA11H)
寸法 W x L x T
83 x 41 x 18 mm 
動作温度
10 - 55 °C
DC入力電圧
8.5 - 9.5 V
電流消費
50 - 60 mA
出力データレート(ODR)
1 Hz
パルス検出レート
40 - 120 bpm
防水性
IEC 60529のIP55準拠
通信
WLAN IEEE802.11b - 2.4GHz

※センサモジュール(SCA10H)およびセンサノード(SCA11H)は最終機器の構成部品であり、各国の法規制への対応はお客様の責任にて行っていただく必要があります。


ワイヤレスベッドセンサの詳細はこちらをご覧ください。

ムラタについて

村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカーです。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献していきます。詳細はこちらのページをご覧ください。www.murata.com/ja-jp

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