農地の状態を可視化する土壌モニタリングシステムを活用した実証実験について
~ベトナム国立カントー大学と協力し、メコンデルタ地域の塩害対策を推進~

2019/01/22

株式会社村田製作所
代表取締役会長兼社長 村田 恒夫

株式会社村田製作所(本社:京都府長岡京市、代表取締役会長兼社長:村田恒夫)は、農地の状態を可視化する土壌モニタリングシステムを活用したベトナム・メコンデルタ地域*1での実証実験をベトナム国立カントー(Can Tho)大学と協力して行い、農業の塩害対策を推進しています。今回の取り組みは、 “Studies on sustainable soil uses*2”(以下、本プロジェクト)によるもので、日本政府とベトナム政府間での農業の塩害対策事業に関するODA(政府開発援助)供与合意に基づくものです。


1.本プロジェクトの背景

ベトナムのメコンデルタ地域は、温暖化による気候変動の影響により、乾季にはメコン川の流量減少や潮汐によって海水の遡上による塩害が発生しています。また塩害被害のほか、干ばつや雨季の洪水など、これまで以上に過酷な農業環境が続いています。同地域は国土の30%を占める農地で国内の食糧生産量の過半数を担っており、農産物に数十億円~数百億円規模の被害を与えることが深刻な問題となっています。

   本プロジェクトは、メコンデルタ地域での農業・環境研究に深い知見を持つベトナム国立カントー(Can Tho)大学と当社が2017年から協力して取り組んでいます。当社が持つ電子部品・回路設計・ソフトウェア設計のノウハウを活用した小型センサユニットにより高精度に農地と水路の状態を計測し、独自のモニタリングツールを組み合わせ、その状態の可視化・解析を行い、水田や果樹園などへの塩害の予防、農地と水路環境の塩・硫酸汚染の改善、肥料、農作物、灌漑システムとを統合的に管理する仕組みを構築することで、メコンデルタ地域における農業へのIT技術の導入に貢献します。


2.土壌モニタリングシステムの特長

ワイヤレス送受信システムは、ゲートウェイ、ルーターおよび複数のセンサノードから構成されます。センサノード1台あたり、トランスミッタ*31台とセンサユニット3台となり、土壌、圃場水質および水路水質の状態を計測し、そのセンシングデータはクラウド上に蓄積されます。


主な特長は、以下の通りです。

  • 約13㎝の小型センサユニットに2種類の電気伝導度*4、温度、水分率を測る3つのセンサを内蔵
  • 独自形状のセンサ素子と独自開発のアルゴリズムを内蔵したセンサにより状態を高精度に分析
  • 単三乾電池3本で1年以上の稼働が可能
  • 防塵・防水性能IP68*5および防錆の信頼性を実現し、厳しい環境下での長期使用が可能


3.今後の展望

本プロジェクトは、東日本大震災の津波被害農地での塩分状態モニタリングによる農地修復で培ったノウハウを活かし、2017年から3カ年の計画でスタートしました。当初より本製品を導入しているソクチャン省、カマウ省のほか、2018年10月からはベンチェ省、キエンザン省内を加えた4ヵ所に導入しています。

当社は、今後も多くの研究機関との共同研究を通じ、独自のセンシング技術とワイヤレス技術を用いて、世界的なSDGs*6の実現に取り組んでいきます。


4.メコンデルタ地域での設置の様子

センサユニットと通信を行うトランスミッタ(ベトナム ベンチェ省にて)


*1
  カンボジア東南部をふくめたメコン川下流の三角州
*2
  ベトナム・メコンデルタ地域において、硫酸、塩に汚染された土壌での肥沃性改善と、汚染を防止する取り組み。また、気候変動に適応し持続可能な農業を実現させ、収益の向上を図る。
*3
  電気信号を電波に乗せて送る送信機
*4   物質中の電気伝導のしやすさを表す
*5   電気機械器具の外郭における保護等級で最高レベルの防塵・防水性能
*6   Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)2015年9月の国連サミットで採択された2016年から2030年までの国際目標



ムラタについて

村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカーです。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献していきます。
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