Stabilized Matching Deviceの特長

1. "Stabilized Matching Device"とは?

Stabilized Matching Deviceは、携帯電話などに搭載される様々な高周波アンテナのインピーダンス整合素子です。コンデンサやインダクタと同じようにアンテナとRF-ICの間に置いて使用します。ただし、その構造はどちらとも異なっており、オートトランス構造となっています。このため、アンテナ (Radiator) 側の低インピーダンスをRF-IC側の50Ωに変換させることが可能です (図1) 。

図1: Stabilized Matching Device動作イメージ
図1: Stabilized Matching Device動作イメージ


2. "Stabilized Matching Device"の効果

Stabilized Matching Deviceは、そのオートトランス構造により、コントロールされた周波数成分とトランス比を持ち、それにより異なる周波数を同時に、かつ、広帯域な整合を取ることが可能になります。実際に、あるアンテナにStabilized Matching Deviceを装荷した場合のスミスチャートの軌跡を以下に示します (図2) 。Stabilized Matching Deviceを装荷することで、インピーダンスの軌跡の円が Low Band、 High Band 共に小さくまとまり、非常に整合が取りやすい状態に変化していることが分かります。後は、直列のCによりLow Bandを、直列のLによりHigh Bandを微調整すれば理想の整合が実現できます。

図2: Stabilized Matching Device装荷によるインピーダンス軌跡の挙動
図2: Stabilized Matching Device装荷によるインピーダンス軌跡の挙動


3. LC整合との比較

次に、LC整合とStabilized Matching Device整合で、スミスチャート上において両者にどのような差が発生するのかを図3に示します。上段はStabilized Matching Deviceを使用した場合、下段はStabilized Matching Deviceを使用しないでLC部品だけで整合を取った場合の結果です。中央の朱色の部分に合わせたいとすると、下段のLC整合では全体的にスミスチャートの中央から離れており、特に帯域の端が顕著に外れていることが分かります。一方でStabilized Matching Deviceを用いると上述の通りインピーダンスの軌跡の円が小さくまとまるため、帯域端でも整合が大きく外れることはありません。つまり、LC整合に比べてStabilized Matching Device整合が広帯域化を実現できていると言えます。

LC整合との比較


4. まとめ

Stabilized Matching DeviceはLやCと異なり、余計な周波数特性を持っていません。このため、インピーダンスの軌跡が冗長化しにくく、容易に整合を取ることができます。また、広帯域化が実現できるため、多バンド対応が必要な現在の状況においてこそ高い付加価値を提供することが可能です。Stabilized Matching Deviceはトランスを用いた受動部品であり、LやCに続く第3の整合素子として広くお客様にご活用頂けるものと考えております。