センサ電子制御サスペンション (ECS)

電子制御サスペンション (ECS) は速度、路面状態、コーナリング、加速・減速の状況から、ドライビングコンディションに相応しいサスペンションを調節し、操縦安定性と優れた乗り心地をドライバーにもたらします。ECSでは、ソフトな運転、スポーツカーのようなタフな運転、あるいはその中間と、ドライビングモードを選ぶことができます。ドライバーは選択ボタンを押すだけで、ノーマル、スポーツ、コンフォートと走行モードをチェンジできます。

ECSでは車体の動き、場合によっては前輪の上下の動きを計測するために加速度センサを使用しています。車体の動きは2個の加速度センサを、フロント側のショックアブソーバーとスプリングの上部固定位置直近に取り付けて計測します。ホィールハブ近くに取り付ける加速度センサの位置は、ショックアブソーバーと車輪のスプリングに近い方の端です。この狙いは、車輪と車体間の上下運動の差を計測することです。さらに進んだシステムではホィールハブセンサに代わって距離センサを使用し、ホィールと車体の間隔を測定しています。

さらに、多くのECSでは車両の中央もしくは後部に加速度センサを1個追加して車両のピッチを測定しています。こうすることで加速・減速時における車体の傾きを軽減することができます。

現在発売されている高級車、中レベル以上の上級車には、SUVタイプも含めて、殆どにエアサスペンションが装着されています。エアクッションは空気タンクと接続してエアの量を調節します。このシステムは、特殊なエアコンプレッサ1台、空気タンク1ないし2個、エアスプリングと従来型のショックアブソーバを組み合わせたアブソーバユニット4台、スタンドアロンタイプの加速度センサ2~5個、および電子式制御ユニット (ECU) から構成されます。

エアサスペンションは中型車や小型車には割高なので、通常はオイルを使うサスペンションを用います。オイルの量を調節するシステムは低コストですが、エアサスペンションほどの快適性は得られません。オイルの量は特殊な電子バルブで調節され、3~5個のスタンドアロンタイプの加速度センサが用いられます。