製品特徴と選び方・使い方電源系インダクタの製品特徴と選び方

当社電源系インダクタの特徴とその特徴に合った用途をご紹介いたします。

電源回路で使用されるインダクタの代表的な用途は「パワーインダクタ用」と「チョーク用」であり、あらゆる電子機器で使用されています。

表.1 電源回路用インダクタの用途と役割
用途 目的
パワーインダクタ 電気エネルギーを磁気エネルギーとして蓄積・放出し、電圧変換回路の一部を構成する。 低直流抵抗、低交流抵抗、良直流重畳特性
チョーク用インダクタ 高周波AC電流成分のカット 高インダクタンス、低直流抵抗

当社の電源回路用インダクタは、巻線/積層の2つの構造の商品をラインアップしています。
各製品が持つ特徴を活かして、さまざまな用途にご使用いただくことができます。

ムラタの技術

1. 工法技術

巻線工法 積層工法
構造
巻線工法の図
積層工法の図
特長
  • 多彩なサイズラインアップ
  • mHオーダーの高インダクタンス値にも対応可
  • 小型低背領域で強みを発揮

2. 巻線インダクタの技術

ムラタが保有している磁性材料技術と巻線技術 (各種線径に対応) の組み合わせで多彩なバリエーションのラインアップを実現しています。

  • 細線~太線に対応できる巻線技術・端末加工技術。
  • 直流重畳特性に優れたフェライトコアの作製を可能とする磁気回路設計技術・フェライト材料技術・加工技術。
  • インダクタンス取得効率UPに寄与する磁性樹脂材料技術・加工技術。
巻線インダクタの製品断面イメージ図 巻線インダクタの製品断面イメージ図

3. 積層インダクタの技術

ムラタが保有している磁性材料技術と積層技術の組み合わせで小型サイズ領域においても大電流特性を実現しています。

  • 高周波領域での低交流抵抗化を達成できる内部回路形成技術・フェライト材料技術。
  • 低直流抵抗化を可能にした高アスペクト比の内部電極形成技術。

    注) アスペクト比 (T/W) : インダクタ導体の幅 (W) に対する高さ (T) の比

積層インダクタのチップ断面イメージ図

各構造による特性の違い

1. 巻線構造の特徴

巻線インダクタは、フェライトのコアに銅線をらせん状に巻いています。また、ムラタの電源回路用巻線インダクタの多くはフェライトコアに巻いた銅線の上から各種樹脂をコーティングしています。樹脂コーティングの目的は製品強度アップなどです。
大電流領域や高インダクタンス領域で使用する場合、巻線品を採用するメリットがあります。対象市場は携帯電話、TV、HDD、デジタルカメラなど多岐にわたります。

巻線構造のイメージ画像

対象製品

パワーインダクタ用

チョーク用(LQHシリーズ)

チョーク用(LQWシリーズ)

2. 積層構造の特徴

積層インダクタは、セラミック材料とコイル導体を交互に積層させて焼結したインダクタです。巻線構造に比べて小型/低背化が可能です。
携帯電話がメイン市場であるパワーインダクタ用の積層インダクタはスイッチング周波数の高周波化が進むにつれ、必要インダクタンスが低下する傾向にあり、積層インダクタが適用できるケースがさらに増える見通しです。

積層構造のイメージ画像

対象製品

パワーインダクタ用

チョーク用

3. まとめ

巻線工法 積層工法
構造
巻線工法の図
積層工法の図
特長
  • 多彩なサイズラインアップ
  • 高インダクタンス値にも対応可能であり、電源昇圧回路に適している
  • 小型/低背領域に適している
  • 磁気シールド構造
用途 携帯電話/デジタルカメラ/TV/HDD/ゲーム機 携帯電話/デジタルカメラ

インダクタの効果的な使い方

ムラタの電源回路用インダクタは巻線タイプ・積層タイプの商品群がありますが、パワーインダクタ用途については実使用条件に即したインダクタの性能を計算して表示できるツール「Murata Power Inductor Selection Tool」を準備いたしました。
パワーインダクタ用途についてはインダクタの損失がセットの変換効率にも大きく寄与します。

Murata Power Inductor Selection Tool」をお使いいただくことにより、実際に使用する周波数や電流値でのインダクタの損失を見積もることができ、セットに搭載される電源の変換効率を最大限に引き上げるインダクタの選定を簡単に実施できます。