ノイズ対策技術 / 事例紹介(民生)
USB4におけるノイズ対策-1
INDEX
- USB4の規格と普及
- USBとThunderboltの統合
- Thunderbolt3とUSB4の仕様・比較
- USBで予想されるノイズ問題
- USB4のノイズ対策方法
- 放射ノイズ測定
- 放射ノイズ測定結果
- イントラシステムEMC-DUT(Thunderbolt 3対応add inカード)の概略
- イントラシステムEMC-Wi-Fi受信感度への影響の評価
- イントラシステムEMC-Wi-Fi受信感度の測定結果(対策なし)
- イントラシステムEMC-アンテナに結合するノイズの評価
- イントラシステムEMC-アンテナに結合するノイズ 測定結果(対策なし)
- イントラシステムEMC-近傍ノイズ測定(対策なし)
- イントラシステムEMC-対策部品の挿入ポイント
- イントラシステムEMC-受信感度 測定結果(対策後)
- イントラシステムEMC-アンテナに結合するノイズ 測定結果(対策後)
- 信号波形確認-アイパターン測定手順
- 信号波形確認-アイパターン測定
- まとめ
1. USB4の規格と普及
USB(Universal Serial Bus)は、主にコンピュータなどのHost機器とDevice機器間のデータ伝送に用いられる差動インターフェース規格として世の中に広く普及しています。
市場では高速通信による大容量のデータ伝送、複数存在する差動インターフェース規格の統合化のニーズが高まり、USB4が2019年9月に新たに規格化されました。
今後、パソコンやその周辺機器を中心にUSB4が普及していくと考えられます。
※ USB4の規格策定に伴い、従来規格の名称が変更されている
2. USBとThunderboltの統合
Thunderbolt 3でUSB Type-Cコネクタを採用したことにより、Thunderbolt 3のポートをUSB3.1ポートとしても使用できるようになりました。
USB4は、このThunderbolt 3と完全互換を持って規格化されています。
USB4は、電気的仕様の大部分をThunderbolt 3をベースにしています。
3. Thunderbolt3とUSB4の仕様・比較
USB4はThunderbolt 3と同じ最大データ転送速度を有しています。
信号振幅などの細かい違いはありますが、基本的な仕様は同じであるため、USB4でもThunderbolt 3と同様にデータ信号起因のノイズ問題と信号品位のケアが必要となります。
Thunderbolt 3 | USB4 | |
---|---|---|
データ転送レート(per lane) | 20Gbps ※Max:40Gbps (20Gbps x2レーン) |
20Gbps ※Max40Gbps (20Gbps x2lane) |
データレーン数 | データ 2レーン | データ 2レーン |
コネクタ、ケーブル | コネクタ: USB Type-C コネクタ ケーブル: 専用ケーブル |
コネクタ: USB Type-C コネクタ ケーブル: 専用ケーブル |
伝送ラインの特性インピーダンス | 差動: 90Ω±5% | シングルエンド: 42.5Ω(typical) |
利用可能なI/F | DisplayPort, PCI Express | USB, DisplayPort, PCI Express |
4. USBで予想されるノイズ問題
USB4通信時においては、基板やケーブルから外部に放射されて外部に影響を与える放射ノイズと機器内部の別の回路と干渉して誤動作や性能低下をもたらすイントラシステムEMCのノイズといった2種類のノイズ問題をケアする必要があります。
USB4通信時のノイズ問題:1
- 放射エミッション
USB4機器またはケーブルからノイズが放射するノイズ問題。
USB4通信時のノイズ問題:2
- イントラシステムEMC(Wi-Fi受信感度の劣化)
USB4通信時に、データ信号起因のノイズが機器内部でWi-Fiアンテナに干渉し、Wi-Fi通信感度が悪化するノイズ問題。
※USB4通信が可能な機器はまだ世の中に存在しない(2020/2月時点)。
そのため、USB4とほぼ同じ電気的仕様を持つThunderbolt 3通信が可能な機器を用いてノイズ評価を実施しました。
- 続けて読む:USB4のノイズ対策方法