無給電素子結合デバイス
(Parasitic Element Coupling Device)

アンテナ特性の広帯域化と小型化に貢献するデバイスです。
例えばWi-Fi 6EやWi-Fi 7、セルラーなど、広い周波数帯域幅を必要とする用途のアンテナ部に対し、広帯域化とアンテナ効率を改善することで、アンテナ部の小型化をはかることができます。

無給電素子結合デバイスの製品画像

製品概要

無給電素子結合デバイスは、給電アンテナと無給電素子(無給電アンテナ)を本デバイスで強く結合させることで、広帯域化とアンテナ効率の向上を可能とするデバイスです。そのため、無給電素子の適用が難しい小型アンテナでも、本デバイスを実装することで、良好なアンテナ特性を得ることができます。
当社独自の多層技術によりトランスコイルを近接配置させ、磁性体を使わずに強い電磁界結合を実現。これによりアンテナ特性の改善・小型化に貢献する本デバイスを開発することができました。

図1 無給電素子結合デバイスの実装イメージとその効果
(広帯域化とアンテナ効率の向上)
図2 内部構造イメージと外観写真

メリット1 アンテナの広帯域化とアンテナ効率の向上

無給電素子結合デバイスをアンテナ部に使用することで、広帯域化が可能です。
図3は、無給電素子結合デバイスを使用した時と、しなかった時のシミュレーションによるアンテナ特性(リターンロス)とアンテナ効率の比較したものです。無給電素子と給電アンテナを強く電磁界結合することにより、無給電素子のもつアンテナ共振が加わることで、広帯域化とアンテナ効率の向上を実現できることがわかります。

無給電素子結合デバイスなし
無給電素子結合デバイスあり

図3 無給電素子結合デバイスによるリターンロスの広帯域化とアンテナ効率の向上効果(シミュレーション)

メリット2 アンテナの小型化

無給電素子結合デバイスによるアンテナ効率の向上効果により、アンテナ部の小型化をはかることができます。
一般的に、給電アンテナと無給電素子を並べて弱い電磁界結合のまま小型化すると、無給電素子とGNDとの結合が強くなり、給電アンテナとの結合がさらに弱まります。これにより、無給電素子のアンテナとしての機能が低下し、アンテナ効率が劣化することになります。
無給電素子結合デバイスは、無給電素子と給電アンテナとを強く電磁界結合させるため、小型アンテナに対しても良好なアンテナ効率を得ることが期待できます。

無給電素子結合デバイスなし
無給電素子結合デバイスあり

図4 アンテナ部の小型化と無給電素子結合デバイスによるアンテナ効率の向上効果(シミュレーション)

メリット3 ケーブルロス影響の低減

無給電素子結合デバイスを用いて無給電素子をアンテナに強く電磁界結合することでマッチングが改善します。
そのことにより、アンテナとモジュール間での多重反射を防ぎます。長いケーブルを使用した場合の挿入損失の影響を低減することができます。

評価条件

[Evaluation board]

Evaluation board

[Antenna pattern]

無給電素子結合デバイスなし
無給電素子結合デバイスあり

[Condition-1]

Without cable (50Ω Transmission Line)

[Condition-2]

700mm Coaxial cable

評価結果

Without cable
S-parameter
700mm Coaxial cable
S-parameter
評価結果のグラフ

製品ラインアップ

使用帯域によりラインアップを備えています。

左右にスワイプ可能です 横持ちでご覧ください
Part Number Type 挿入損失(Typ)※1 DCR(Max)
測定周波数 IL(dB) (Ω)
LXPC15AHA1-001 For Middle/High Band 1.7GHz 0.1 0.2
LXPC15AHR1-002 For Middle/High Band
(Mirror type of -001)
LXPC15ALA1-003 For Low Band 1.7GHz 0.1 0.4
LXPC15ALR1-005 For Low Band
(Mirror type of -003)
LXPC15AUA1-008 For Sub6G Band 3.3GHz 0.2 0.3
LXPC15AUR1-009 For Sub6G Band
(Mirror type of -008)
LXPC15AWA1-012 For Wi-Fi 6E 6GHz 0.35 0.3
LXPC15AWR1-013 For Wi-Fi 6E
(Mirror type of -012)
  • ※1Port3・Port4がOpen、Port1・Port2が接続された状態で測定をし、Port2の反射損を補正したデータです。

用途例

Note PCやスマートフォンをはじめ、アンテナを搭載したさまざまな製品に使用いただけます。

  • Note PC
  • スマートフォン / 携帯電話
  • タブレット
  • xR(AR、VR、etc.)
  • DSC(デジタルスチールカメラ)
  • Game(ポータブルゲーム)
  • TV
  • Wi-Fiルーター

採用事例

スマートフォンやNote PCで採用実績があります。

スマートフォンでの採用例

フレームアンテナを採用しているスマートフォンでの採用例です。
無給電素子を基板側に配置して、無給電結合デバイスで結合することで広帯域化を実現しました。

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回路図

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