国内製造業向けにスマートファクトリー化(製造業DX)に関する調査を実施 ~「すでに取り組み中」の回答は2割にとどまるが、その多くは成果を実感~

  • その他

2023/03/28

株式会社村田製作所
代表取締役社長 中島 規巨

株式会社村田製作所(以下、「当社」)は、自社のスマートファクトリー化(製造業DX)に携わる製造業にお勤めの500名(スクリーニング調査:国内の製造業従事者11,084名)に対し「スマートファクトリー化」についての調査を2023年1月に行いました。

調査結果サマリ

  • スクリーニング調査から、スマートファクトリー化を「実施している」と回答したのは22.9%にとどまる。「実施を検討している」との回答は15.2%。
  • 実際の取り組みとして、「デジタル技術(IT/OT)の活用により業務の標準化やノウハウの見える化の精度を向上させ、技術継承に役立てている」との回答が最多。
  • スマートファクトリー化の推進に関わる人のうち、86.0%が成果を感じていると回答。
  • 成功の要因は、「スマートファクトリー化に対するトップの理解(トップダウンの方針含む)」が67.7%で最も多く、「専門部隊の設置」が53.0%と続いた。
  • その一方で14.0%の人は成果を感じておらず「データ分析・予測」や「データ収集・蓄積」につまずいているとの声も。また、推進を妨げている要因は「専門的な技術者や人材がいない」、「費用対効果が示せない」ことと考える人が多い。
  • スマートファクトリー化の推進を「全て自社内で実施している」という回答は3割未満にとどまる。スマートファクトリー化を自社のみで推進することの難しさが改めてわかる結果に。
  • 現在進めているスマートファクトリー化の取り組みを今後も継続したいとの回答は9割を超える。これからもスマートファクトリー化が進むことが予想できる。
  • OT (Operational Technology):工場などの設備を監視・制御するためのハードウェア・ソフトウェア技術。


生産性向上や品質管理、人材不足への対応など、製造業におけるさまざまな課題の解決策として、AIやIoTを活用したスマートファクトリー化が注目されています。しかし、実施にあたっては導入資金や専門知識が必要になるほか、十分な成果を得られるか懸念を抱く企業も多いことが予想されます。

今回の調査結果から、現状スマートファクトリー化の取り組みを実施中という回答は2割にとどまる一方で、その大半が成果を感じていることがわかりました。成功の要因は「トップの理解」と「専門部隊の設置」であると考える人が多く、また専門部隊が現場の作業内容や状況を十分に理解していることも、推進上のポイントの1つであるようです。

当社においても、自社の製造現場のスマートファクトリー化を進めています。上記に挙がった「トップの理解」と「専門部隊の設置」に加え、「小さく始めてスピーディーにサイクルを回す」ことや「データを集めながら次の方向を考える」こともポイントであると考え、実際に福井村田製作所や小諸村田製作所など複数の工場での成功例があります。

また、当社では、電子部品の研究開発、製造を通じて培った技術や経験を基盤に、さらにソフトウェアや通信ネットワークなどを組み合わせた製造業向けソリューションをご提供しています。今回の調査結果で、スマートファクトリー化でつまずくステップとして多かった「データ収集・蓄積」「データ分析・予測」には、当社でも実際に導入活用している、製造業のための生産改善プラットフォーム「m-FLIP」の活用が有効です。

当社はこうしたソリューションの提供を通じて、今後も製造業全体におけるスマートファクトリー化を支援し、社会課題の解決に貢献していきます。

調査結果詳細

Q.スマートファクトリー化の取り組みを実施していますか。(単数回答/n=11,084)

  • スマートファクトリー:デジタル技術(IT/OT)の活用によって業務プロセスの改革や生産性・品質の向上を継続的に行う工場のこと。
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まず製造業にお勤めの11,084名に対し、スマートファクトリー化の実施についてお聞きしたところ、「実施している」と回答したのは22.9%にとどまる結果となりました。「実施を検討している」と回答した方も15.2%となり、現時点では約6割の企業がスマートファクトリー化を実施していないことがわかりました。

Q.スマートファクトリー化に取り組むこととなったきっかけをお答えください。(複数回答/n=500)

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実際に自社のスマートファクトリー化に携わる500名に対し、スマートファクトリー化のきっかけをお聞きすると、設備稼働率改善・生産プロセス短縮・生産計画の精度向上などの「生産性の向上」が58.8%と最も多く、次いで、「コスト削減」が54.0%と続きました。

Q.スマートファクトリー化の一環として、どのような取り組みを実施していますか。(複数回答/n=500)

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どのような取り組みを行っているかをお聞きすると、「デジタル技術(IT/OT)の活用により業務の標準化やノウハウの見える化の精度を向上させ、技術継承に役立てている」と回答した方が最も多く47.6%となりました。僅差で「製造プロセスで収集したデータを品質向上に活用している」47.4%と続き、「デジタル技術(IT/OT)を活用して設備稼働率改善や生産プロセス短縮を行っている」と回答した方も46.0%となりました。

この結果から、複数の取り組みを組み合わせてスマートファクトリー化を進めている企業が多いことがわかりました。

Q.スマートファクトリー化による成果を感じていますか。(単数回答/n=500)

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スマートファクトリー化の取り組みに関わっている人のうち86.0%が成果を感じていると回答しました。

Q.スマートファクトリー化を前進させることができた主な要因は何だと思いますか。(複数回答/n=430)

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成果を感じていると回答した430名に要因をお聞きしました。その結果、「スマートファクトリー化に対するトップの理解(トップダウンの方針含む)」が67.7%で最も多く、「専門部隊の設置」が53.0%と続きました。

Q.どのようなステップでスマートファクトリー化につまずいていますか。(複数回答/n=70)

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一方で、成果を感じていない70名は、主に「データ分析・予測」「データ収集・蓄積」でつまずいていることがわかりました。スマートファクトリー化を進めるにはこのステップをどのように超えるかがポイントになると考えられます。

Q.スマートファクトリー化の推進にあたって障害になっている・なると思う要因をお答えください。(複数回答/n=70)

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また、「専門的な技術者や人材がいない」、「費用対効果が示せない」という要因でスマートファクトリー化が滞っていると感じている方も多いことがわかりました。

Q.どうすればスマートファクトリー化を前進させることができると思いますか。(自由回答/n=70)

  • 専門の部署をつくる。
  • ニーズとシーズのマッチング。ノウハウの蓄積。技術者の養成。
  • トップダウンによる推進。
  • 専門家による教育が必要。
  • 専門部隊をつくっても、実務に詳しくないため迷惑。
  • 経営者の断固たる決意と推進。
  • 投資費用を節約しない。専門部隊で検討する。
  • 現場作業内容を把握した専門部隊が必要。
  • 現場を知らないため、何を変えたらいいのかわかっていない。
  • 多少費用が掛かっても、習熟が終わるまで専門のスタッフが常駐して欲しい。

スマートファクトリー化前進の要因として、経営層・現場、それぞれの理解、専門部署の設置などの声が上がりました。

また、専門部署においても、IT/OTの知識だけではなく、実務の知識や現場の状況理解が必要になるといった複合的な課題がありそうです。

Q.スマートファクトリー化について推進の体制をお答えください。(単数回答/n=500)

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スマートファクトリー化推進の体制について、「全て自社内で実施している」と回答した方は3割未満にとどまる結果となりました。スマートファクトリー化を自社のみで推進することの難しさが改めてわかる結果となりました。

Q.現在取り組んでいるスマートファクトリー化に関する項目について、今後も取り組みを継続したいと思いますか。(単数回答)

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スマートファクトリー化に関する現在の取り組みについて、今後も継続したいと回答した方が全ての項目で9割を超える結果となりました。

村田製作所のスマートファクトリー化に関する取り組み

(1)福井村田製作所

現場のスペシャリストを集めて専門チームをつくり、議論を重ねながらビジョンを描き、上位層や会社全体にそのビジョンとモデルラインで出した実績を伝えていくことで少しずつ"ファン"を増やし、会社全体を巻き込みながら成果へと導く。

生産性を上げる製造現場のIoT化。その実現に必要なこととは?

(2)小諸村田製作所

元々個別にスマートファクトリー化に取り組んでいたメンバーを集めてDXチームをつくり、工場全体のスマートファクトリー化を加速。専門チームと現場のコミュニケーションが推進の鍵。

スマートファクトリー化への第一歩を踏み出すには?小諸村田製作所編

スマートファクトリー化に貢献する村田製作所のソリューション

・ 独自の設備稼働率分析ソフトウェアと、現場経験者によるシステム導入と活用支援がワンパッケージになったサービス

製造業向け稼働率改善ソリューション「m-FLIP」のご紹介

・ 設備や環境状態の遠隔監視を実現する「無線センシングソリューション」や現場の業務改善支援ツール「JIGlet(ジグレット)」など、村田製作所の製造ノウハウが詰まったソリューション一覧

村田製作所の製造業向けソリューションサービス・技術のラインアップのご紹介

調査概要

調査主体:株式会社村田製作所

調査対象:(スクリーニング調査)国内の製造業従事者11,084名、(本調査)自社のスマートファクトリー化に携わる製造業にお勤めの500名

調査方法:インターネット調査

調査期間:2023年1月25日(水)~27日(金)の3日間

※四捨五入のため、合計値が必ずしも一致しない場合があります。

※引用・転載時のクレジット表記のお願い

当調査内容の転載にあたりましては、「村田製作所調べ」とクレジットを付記のうえ、ご使用いただきますよう、お願い申し上げます。

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ムラタについて

村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカーです。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献していきます。
詳細はこちらのページをご覧ください。www.murata.com/ja-jp

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