株式会社村田製作所(以下、「当社」)は、児童の交通安全のために自動で声かけができる交通安全ブザー「こえか」の提供を開始します。サービス提供開始は2023年12月頃を予定しています。また、「こえか」は10月17日~20日に幕張メッセで開催されるCEATEC 2023の当社ブースで展示します。
近年社会問題のひとつとなっている通学中の児童の交通事故は、効果的対策の早期導入が望まれています。内閣府の令和3年版交通安全白書によると、平成23年から令和2年までの間の交通事故死者・重傷者数は、小学生では「歩行中」が最も多く、56.5%を占めています。「歩行中」の交通事故死者数は、小学校低学年では「通学など登下校」が多くなっており、小学生の登下校時における交通事故が問題となっています。
交通事故から児童を守るため、家庭での言い聞かせの徹底や警察官の学校訪問による交通安全教育などが行われています。しかし、児童が交通安全に対する意識を常に高く持つことは困難です。また、登下校時の通学路に見守りボランティアが立ち、安全確保と注意喚起をする対策も講じられていますが、全児童の通学路の危険箇所を網羅できていないのが現状です。
そうしたなか、近年では、GNSS※1端末によって通学中の児童の現在地を検知し、保護者のスマートフォンなどに知らせるサービスも出てきています。しかし、児童の現在地を検知するだけでは、危険な場所に近づく児童にその場で最適な交通安全行動を促すことはできません。
「こえか」は、こうした課題を解決するため、保護者の目を離れて通学する児童を対象に開発したサービスです。見通しの悪い交差点や交通量の多い横断歩道など、保護者がスマートフォン上の専用アプリからあらかじめ設定しておいた危険箇所に近づいた際、児童が持つ小型専用端末から「左右を確認してから渡ってね」などの音声でアラートを発します。端末はGNSSを利用した測位機能を備えており登録地点に到達したことを正確に検知できるため、大人の目が届かない場所でも自動的に注意喚起できます。
当社では、金沢大学 藤生准教授と連携し、金沢大学附属小学校の児童を対象にして実証実験を実施しました。その結果、「こえか」を用いた一旦停止の注意喚起音声の有無によって、児童の一旦停止率が約39%上昇しました。加えて、「こえか」は加速度センサによる行動検知機能を備え、実際に児童が一旦停止したかどうかを検知して保護者のスマートフォンに報告できます。この機能を活用すれば、家庭での交通安全の意識づけを適切なタイミングで行うことができます。
「こえか」は、従来のモノづくりに加え、新たにソリューションを通じた事業創出も目指す当社が提供する、初めての一般消費者向けサブスクリプションサービスです。当社は今後も「こえか」の機能を継続的に拡張し、より多様な方法で児童の交通安全に貢献できるサービスを提供していきます。