株式会社村田製作所(以下、「当社」)は、高電圧機器向けの高絶縁ゲートドライバ電源モジュール「MGJ1Tシリーズ」(以下、「当製品」)を開発し、量産を開始しました。当製品は、高絶縁(6kV DC)と低絶縁容量※1(2.5pF)を両立しています。エネルギー貯蔵システム(ESS※2/BESS※3)、次世代電力変換システム(SST※4)、EV充電インフラ、産業用モータードライブなどの高電圧環境でもゲートドライバ回路へ安定した電力を供給します。
近年、エネルギー分野や産業機器分野では、電力機器の高電圧化と半導体の高速化が進んでいます。例えば、EV充電では800V、BESSでは1,500V級のシステム導入が広がっています。さらに将来的には2,000V級システムへの移行も見込まれています。このようなアプリケーションでは、インバータ回路にSiC※5などの次世代パワー半導体が用いられ、高速なスイッチング動作による高効率な電力変換が進んでいます。一方で、高電圧かつ高速スイッチング環境ではノイズが発生するため、半導体を制御するゲートドライブ回路では、ノイズの影響を受けにくい絶縁電源が必要です。しかし、従来の絶縁型電源モジュールでは、高い絶縁耐圧を確保するために絶縁構造を設計すると、絶縁容量が大きくなり、結果として高周波ノイズが伝達しやすくなる場合があり、高絶縁と低ノイズ伝達特性を両立することが課題でした。特に、SiCパワー半導体を用いた高速スイッチング回路では大きなノイズが発生するため、ゲートドライバ回路の誤作動を防ぎながら、高耐圧環境下で長期間安定して動作させることが求められています。
そこで当社は独自のブロックコイルトランス技術とモールド技術により、高絶縁性と低絶縁容量を両立した当製品を開発しました。当製品は6kV DCの高い絶縁性能を備え、絶縁容量を2.5pFと低く抑えることで、絶縁部分を介して伝わる高周波ノイズを低減します。さらに、急激な電圧変化への耐性を示すCMTI※6を200kV/μs以上とすることで、SiCパワー半導体を用いた高速スイッチング回路でもゲートドライバ回路の安定した動作が実現可能となります。これにより、エネルギーインフラや産業機器におけるインバータの信頼性向上に貢献します。
村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカーです。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献していきます。