要旨
村田製作所は、自動車用電子部品規格のAEC-Q200
*1に準拠した積層セラミックコンデンサに撥水処理を施した自動車インフォテインメント、コンフォート機器用撥水コンデンサGXTシリーズを商品化しました。本商品は、既にサンプル提供および量産を開始しています。
背景
電子機器の小型化・高密度実装化にともない、厳しい温湿度変化にさらされる環境下では結露による部品のイオンマイグレーション
*2により回路動作に不具合が生じる可能性があります。特に高い信頼性が求められる自動車用電子機器での対策が課題となっていました。そこで当社では、自動車用電子部品規格のAEC-Q200に準拠した積層セラミックコンデンサの表面に撥水処理を施すことにより、結露によるイオンマイグレーションの発生を低減できる撥水コンデンサを商品化しました。
撥水コンデンサとしては、これまで一般電子機器向けにGXMシリーズ、自動車パワートレイン、セーフティ用途向けにGGMシリーズをラインアップしていましたが、このたび、自動車インフォテインメント、コンフォート機器向けにGXTシリーズを追加するものです。
特徴
代表的な撥水コンデンサの構造を図1に示します。コンデンサの表面に撥水処理を施した構造となります。このコンデンサの表面の撥水性により、水滴の点在状態を維持し(図2)、結露により外部電極間でつながるような水滴の成長を遅らせ、イオンマイグレーションの発生を低減することができます。また、コンデンサの表面の撥水膜は、外部電極の金属が水滴へ溶出すること(イオン化)を抑制する特徴もあります(図3)。黒色水溶性ペンによる濡れ性の評価(図4)においても、撥水処理品の撥水性が当社の撥水処理を施していないものに比較し優れていることは明らかです。
(注:当製品はマイグレーションの発生を完全に防止するものではなく低減を狙ったものです)
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図1 撥水コンデンサの構造例 |
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図2 撥水性による水滴の点在状態維持
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図3 水滴への金属溶出の抑制
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M+:SnやCu等の金属(Metal)がイオン化した状態を表す
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図4 黒色水溶性ペンによる濡れ性の評価
(左が撥水未処理品、右が撥水処理品)
用途
例)自動車用インフォテインメント、コンフォート機器
(カーナビゲーション、オーディオ機器など)
品番およびラインアップ
例)GXT32ER60J107ME13(シリーズ名:GXT)
電気的性能
温度特性
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X5R, X6S, X7R, X7S, C0G
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定格電圧
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4~100Vdc
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容量偏差
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±0.25pF, ±0.5pF, ±5%, ±10%, ±20%
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使用温度範囲
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-55~85°C (X5R), -55~105°C (X6S), -55~125°C (X7R, X7S, C0G)
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外形寸法図

LWサイズ
1005Mサイズ:1.0×0.5mm (T=0.5mm)
1608Mサイズ:1.6×0.8mm (T=0.8mm)
2012Mサイズ:2.0×1.25mm(T=1.25mm)
3216Mサイズ:3.2×1.6mm (T=1.6mm)
3225Mサイズ:3.2×2.5mm (T=2.0, 2.5mm)
サンプル対応
下記品番については、WEB上で無償サンプルリクエストの受付をしております。是非、この機会にサンプルをお試しください。
<ご依頼の方法>
- リクエストには にログインするためのアカウントが必要です。
- アカウント作成後、Capacitor Siteのメンバーシップの取得が必要です。
- 上記ご登録がお済みの方は、下記ご希望の品番をクリックいただき、画面右上の「20pcs無償サンプル」よりお申し込みください。
<対象品番>
(1005Mサイズ、C0G特性、定格50Vdc、100pF)
(1005Mサイズ、X7R特性、定格50Vdc、1,000pF)
(1608Mサイズ、C0G特性、定格50Vdc、82pF)
(3216Mサイズ、X6S特性、定格25Vdc、10uF)
他品番のサンプルご要求については、当社営業担当または、
用語説明
*1.
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AEC-Q200:
Automotive Electronics Councilが策定した、自動車用電装部品に求められる信頼性試験規格。
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*2.
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イオンマイグレーション:
電極間に水分が存在している状態で電圧が印加されたとき、陽極金属がイオン化して陰極に移行し、陰極で電子をもらうことで金属として析出・成長する電気的化学現象。最終的にはショートにいたる。特に、水分の存在様態が律速要因であり、結露などが生じると速やかに成長する。
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ムラタについて
村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカーです。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献していきます。
詳細はこちらのページをご覧ください。
www.murata.com/ja-jp