株式会社村田製作所(本社:京都府長岡京市、代表取締役会長兼社長:村田恒夫)は、IoT機器やウェアラブル機器などの小型化・低消費電力化に貢献する世界最小*1の32.768kHz*2 MEMS*3振動子*4(以下、本開発品)を開発しました。
小型化・長時間稼動が求められるIoTやウェアラブルなどに用いられるデジタル機器おいて、構成する電子部品にも一層の小型化・省電力化が求められています。特に振動子は数多くの電子部品の中でも機器が正確に機能するために常時動作し続けているため、消費電力が低い製品のニーズが高まっています。
本開発品は自動車業界などでの採用実績を持つMurata Electronics Oy(旧VTI Technologies)のMEMS技術の活用により、既存の小型製品より50%以上の小型化、低ESR*5特性、優れた周波数精度、低消費電力を実現しました。
MEMS技術により小型化を実現しながら、水晶振動子と同等の初期周波数精度(±20ppm)以上の周波数温度特性(160ppm以下)を実現します。(動作環境:-30〜85℃)
主な特長については以下の通りです。
0.9✕0.6✕0.3mm(幅×長さ×高さ)の製品サイズにより、従来型の32.768kHz水晶振動子よりも50% 以上小さいサイズ*6を実現しました。
基準クロック信号を生成する回路には、積層セラミックコンデンサ2個分が必要となりますが、本開発品には6.9pFの静電容量を内蔵しています。これにより実装時の大幅なスペース削減が可能となり、さらに自由な回路設計に貢献します。
一般的な水晶振動子では小型化するほどESRが高くなる課題がありましたが、本開発品は低ESR(75kΩ)化により半導体集積回路のゲインを下げることで、安定した基準クロック信号を生成しつつ、低消費電力(従来比13%減)を実現できます。(当社測定結果より)
シリコン材料を用いたWL-CSP(Wafer-Level Chip Scale Packaging)パッケージにより、同質の半導体集積回路への内蔵実装が可能です。
本開発品はMEMS振動子「WMRAGシリーズ」として、2018年12月から量産を開始する予定です。
なお、本開発品は2018年10月16日〜19日に幕張メッセにて開催される「CEATEC JAPAN 2018」の当社ブースにて展示いたします。
*1 32.768kHz振動子として世界最小。2018年9月末時点、当社調べ。
*2 デジタル電子回路で高精度の1秒を求めやすいことから、時計用や半導体集積回路の駆動用基準クロック信号として使われています。
*3 微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical Systems)のことで、半導体製造プロセス技術を用いることで3次元の微細構造を持っています。
*4 半導体集積回路が動作する際の基準クロック信号を創り出す受動部品です。安定した動作には優れた振動子による高精度、高安定な信号が欠かせません。
*5 等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance)を指します。この値が小さいほど安定したクロック信号を生成しやすくなります。
*6 比較サイズは1.2✕1.0✕0.3mm(幅×長さ×高さ)の同等品との比較です。(2018年10月時点)
村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカーです。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献していきます。
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