発振周波数の温度特性が正常ではない場合、要因として以下の点が考えられます。
- ドライブレベルが高すぎる
- 振動子の異常
- 発振回路部品の温度特性の影響
1. ドライブレベルが高すぎる
ドライブレベルが振動子の規格を超えている場合、発振周波数の温度特性に通常見られない変化が現れる場合があります。これは「ディップ」または「アクティビティディップ」と呼ばれる現象で、ドライブレベルが規格を超えて高い状態で使用している場合に発生し得るものです。図に示します通り、通常ATカットを用いた水晶振動子の周波数温度特性は、きれいな3次曲線を描きます。これに対しアクティビティディップが発生している状態では、その3次曲線が図のように乱れます。この現象を回避する為には、ドライブレベルを低減する必要があります。
対策1: |
制限抵抗の値を大きくする |
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制限抵抗の値を大きくすることでインバータ出力振幅を減衰し、ドライブレベルを低下させることができます。この場合、同時に発振余裕度も低下しますので、発振余裕度が5倍を下回らないよう注意が必要です。また発振振幅も低下しますので、極端に振幅が小さくならないよう注意が必要です。 |
対策2: |
外部負荷容量の値を小さくする |
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外部負荷容量の値を小さくすることで発振回路のインピーダンスを高くし、回路に流れる電流を低下させることで、ドライブレベルを低下させることができます。この場合、発振回路の負荷容量が小さくなるために発振周波数は高くなります。外部負荷容量を変更した後での発振周波数が所望の周波数範囲内に収まっているか確認することをお奨めします。 |
2. 振動子の異常
ネットワークアナライザやインピーダンスアナライザなどの測定器を用いて、『fL』の温度特性が振動子の仕様を満足しているか確認下さい。振動子特性が仕様を満足している場合は、3.発振回路部品の温度特性の影響を確認下さい。
3. 発振回路部品の温度特性の影響
外部負荷容量や基板/マイコンの寄生容量が温度変化に対して大きく変化する場合、それに伴い発振周波数も変化します。振動子の特性が正常だった場合には、これら発振回路を構成する部品の温度特性を確認下さい。