圧電フィルムセンサ(Picoleaf™)

村田製作所が独自の圧電技術により実現した「Picoleaf」は、高感度の押圧検知が可能なフレキシブルで薄型のセンサです。省スペースでの実装が可能で、従来センサと比較して薄型化、組立性・耐久性の向上などを実現することが可能です。
また、「Picoleaf」に使われている圧電フィルムは、植物から抽出したデンプンを発酵させて乳酸を作り、それを結合させたポリ乳酸を原料としています。植物は大気中の二酸化炭素を吸収してデンプンを合成しているため、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の総量を増やすことがなく、カーボンニュートラルに貢献した素材です。

  • MEMS application guide

コーポレートプレスリリース

製品ニュース

主な特徴

  • 機器の薄型化に貢献 : ディスプレイやタッチパネルと組み合わせても省スペースでの利用が可能。
  • 高感度 : センサひとつで、大型ディスプレイ全面の押圧を検知可能。1µmオーダーの微小変位や、無意識の筋肉の動きである振戦※1、人間が持つ動作の把持※2、脈拍など生体信号の検知にも応用できる。
  • 非焦電性※3 : 体温や日照、半導体などの発熱による感度変動やノイズの発生が少ない。
  • 低消費電力 : センサ素子での消費電力は0であり、駆動用のアンプも低消費電流(10uA程度)で設計可能。
  • フレキシブル構造 : 曲面を持つようなデザイン性の高い機器などにも曲げて貼り付け可能。
  • ※1手や頭、脚など体の一部に生じる無意識でリズミカルな震え。
  • ※2モノをしっかりと持っている状態。
  • ※3温度変化によって、分極しない物性。

用途例

押圧検知の応用

押圧検知特性を活かしてUIセンサとして利用することができます。
スタイラスペンにPicoleafを配置することで、人がグリップしたことを検知します。
触れただけでなく、人が押し込むという動作を検知することで誤動作を抑制することが可能です。

Picoleafのイメージ画像と押圧検知のグラフ

生体信号検知への応用

圧電フィルムセンサの高感度の特長を利用し、生体信号の中で“脈拍や呼吸”の検知センサとして活用することができます。
指先での脈拍検知事例を以下に示します。

指先での脈拍検知のグラフ

生体信号検知の取り組みでは、専門機関の方々と共同研究を実施し、以下の学術論文などを発表しています。

国際学会

Pressure-based Detection of Heart and Respiratory Rates from Human Body Surface using a Biodegradable Piezoelectric Sensor
Ziqiang Xu, Akira Furui, Shumma Jomyo, Toshiki Sakagawa, Masanori Morita, Tsutomu Takai, Masamichi Ando, and Toshio Tsuji
Proceedings of 43rd Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society (EMBC’21), pp. 5415–5418, Virtual Conference due to COVID-19, Nov 1–5, 2021.

国際学術雑誌

Beat-to-beat Estimation of Peripheral Arterial Stiffness from Local PWV for Quantitative Evaluation of Sympathetic Nervous System Activity
Ziqiang Xu, Toshiki Sakagawa, Akira Furui, Shumma Jomyo, Masanori Morita, Masamichi Ando, and Toshio Tsuji
IEEE Transactions on Biomedical Engineering, Digital Object Identifier: 10.1109/TBME.2022.3154398, Date of publication: 25 February 2022 (SCI, IF=4.538)

国際学術雑誌

Toward a Robust Estimation of Respiratory Rate using Cardiovascular Biomarkers_Robustness Analysis under Pain Stimulation
Ziqiang Xu, Toshiki Sakagawa, Akira Furui, Shumma Jomyo, Masanori Morita, Masamichi Ando, and Toshio Tsuji
IEEE Sensors Journal, doi: 10.1109/JSEN.2022.3165880. Date of publication: 08 April 2022

シニア向けスマートフォンのユーザーインターフェースへの応用

提供形態

現在、評価用サンプルキットとして以下の提供形態が可能です。
量産に向けては使い方に応じて最適な仕様をご提案させていただきますのでお問い合わせください。

説明 外観イメージ 用途例
センサ素子単体
メイン基板に貼り付ける設計
センサ素子 + 配線
センサ位置と基板が離れた設計
センサ素子 + 部品実装配線
センサ位置と基板が離れ、メイン基板上に部品搭載面積がない設計