株式会社村田製作所(以下、「当社」)は、Wi-Fi 6E*1や次世代無線LAN規格であるWi-Fi 7*2に対応するアンテナの高効率化と小型化を両立させる無給電素子結合デバイス(以下、「当製品」)を世界で初めて*3開発しました。ノートパソコンなどの電子機器に搭載されるアンテナに当製品を付加することで、Wi-Fi 6E/7の規格に準拠した良好な無線通信を実現できます。すでに量産を開始しており、当製品を搭載した機器の市場投入は2023年末を予定しています。
Wi-FiTM通信の高速化を実現するWi-Fi 6EやWi-Fi 7規格の適用にあたっては、通信速度や品質を向上させるために、複数個のアンテナを電子機器に搭載する必要があります。一方、プロセッサの高機能化に伴い放熱装置やバッテリの大型化が進んでおり、アンテナの搭載スペースは縮小傾向にあるため、アンテナの小型化が求められています。こうしたなか、一般的にはアンテナを小型化すると広帯域での効率が落ちるという技術的な課題があり、小型化と性能を両立する技術が求められていました。
そこで当社は、独自に培ったセラミック多層技術を活用することで、アンテナの小型化と広帯域での高効率化の両立を可能にする当製品を開発しました。当製品は、2つのコイルを近接配置した小型(1.0×0.5×0.35mm)のトランス状の構造をとるデバイスです。コイル間の強い結合が給電アンテナと無給電素子の結合を強化することで、広帯域にわたって高効率な小型アンテナを実現できます。
当社は今後も、無線LANの広帯域化などの市場ニーズに対応した製品開発に取り組み、無線機器の価値向上に貢献していきます。