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水晶振動子の発振回路が発振しない場合、原因として以下の4つが考えられます。
- マイコン設定が正しくない
- C‑MOSインバータが増幅器として動作していない
- 振動子特性が仕様を満たしていない
- 発振余裕度が不足している
これらは回路条件や部品特性の不整合によって発生することが多く、設定や回路条件を順に確認することで原因の特定と対策が可能になります。
発振しない場合は、以下の順に確認すると原因の切り分けがしやすくなります。
- マイコン設定を確認する
発振回路を有効にする設定や初期化処理が正しく行われているか確認します。
- 発振回路の増幅段を確認する
C‑MOSインバータが増幅器として動作しているか、帰還抵抗(Rf)が正しく接続されているか、またはマイコンに帰還抵抗が内蔵されているかを確認します。
- 振動子の特性を確認する
振動子のR1や負荷時共振周波数(fL)などの特性が仕様範囲内であるかを確認します。
- 発振余裕度を確認する
発振回路の負性抵抗が十分に確保されているかを確認します。
<原因① マイコン設定が正しくない>
発振回路を有効にする設定や初期化処理が実施されていない状態です。
ICによっては発振回路を有効化する設定やリセット処理が必要であり、設定不足により発振条件が成立しない場合があります。
主な対策
- 発振回路の有効化設定や初期化処理が正しく行われているか確認する
<原因② C‑MOSインバータが増幅器として動作していない>
発振回路の増幅段であるインバータに正しくバイアス電圧がかけられていない状態です。
帰還抵抗(Rf)が適切に接続されていない場合、インバータが反転増幅器として動作せず発振しない場合があります。
主な対策
- 帰還抵抗(Rf)が正しく接続されているか、またはマイコンに帰還抵抗が内蔵されているかを確認する
- 帰還抵抗の値が適切であるか確認する
<原因③ 振動子特性が仕様を満たしていない>
振動子の電気的特性(R1、共振周波数など)が回路条件と整合していない状態です。
特性が仕様外の場合、発振の条件が成立せず発振回路が動作しない原因になることがあります。
主な対策
- 振動子のR1や共振周波数が仕様範囲内であることを確認する
- 使用している振動子が回路条件に適合しているか確認する
<原因④ 発振余裕度が不足している>
発振回路が安定して発振するための余裕が不足している状態です。
回路の負性抵抗が小さい場合、発振の開始や維持ができず、不発振や発振停止が発生することがあります。
主な対策
- 発振余裕度を十分に確保する(一般的に民生用途ではR1の規格値の5倍以上、車載用途では10倍以上が目安)
- 負荷容量を調整し回路の負性抵抗を向上させる
- 制限抵抗を調整し発振余裕度を改善する
■発振余裕度を改善する具体例(設計パラメータ調整)
外部負荷容量の値を小さくする
外部負荷容量を小さくすることでインバータ入出力のインピーダンスが高まることから、発振回路の負性抵抗が高くなり、結果発振余裕度を改善することができます。ただし、外部負荷容量を小さくすることで発振周波数は高くなります。外部負荷容量変更後は、発振周波数がご所望の周波数範囲内に収まっていることを確認して下さい。
制限抵抗の値を小さくする
インバータで増幅された振幅は制限抵抗によって減衰されていますので、この値を小さくすることで振幅の減衰が軽減し、発振回路の負性抵抗が高くなるため、発振余裕度を改善することができます。ただし、振幅の減衰が軽減されているため、ドライブレベルは高くなります。ご使用される振動子の仕様書を確認し、ドライブレベルが使用の範囲を越えていないことを確認して下さい。
発振余裕度とは
発振回路が発振を開始・維持するために必要な余裕の大きさを示す指標です。
一般的に振動子の等価直列抵抗(R1)に対して5倍以上確保することが推奨されています。
一般的に振動子の等価直列抵抗(R1)の規格値に対して民生用途では5倍以上、車載用途では10倍以上の余裕を確保することが推奨されています。
帰還抵抗(Rf)とは
C‑MOSインバータを反転増幅器として動作させるための抵抗です。
発振回路の動作点を決める重要な部品であり、接続や抵抗値が不適切な場合は発振しない原因になります。
帰還抵抗については『水晶振動子 専門用語の基礎知識』を参照下さい。
負荷容量とは
発振回路に接続される容量成分です。
負荷容量は発振周波数や発振回路の安定性(発振余裕度)に影響する重要な回路パラメータです。
負荷容量については『水晶振動子 専門用語の基礎知識』を参照下さい。
設計時
発振回路を設計する際に、必要な回路条件や部品定数を検討する参考になります。
試作/評価時
試作回路で発振しない場合の確認項目や評価手順として利用できます。
トラブル解析
不発振や発振停止が発生した場合の原因切り分けに役立ちます。
量産不具合
量産品で発生する発振不良や動作不安定の原因分析と再発防止に利用できます。