機器が正常に動作しない場合、発振回路に起因する要因は以下の4つです。
- 発振していない、または発振が停止する(発振が持続しない)
- 発振周波数が規定値からずれている
- 発振振幅が不足している
- 発振周波数の温度特性に異常がある
多くの場合、回路条件や部品定数の設定によって発生します。
まずは発振状態、周波数、振幅などを確認し、回路条件やマイコンの設定が適切であるかを確認してください。
発振回路に問題があるかを確認する場合は、次の順で確認すると原因の切り分けがしやすくなります。
- 発振しているかを確認する
オシロスコープなどで発振波形を測定し、発振が開始しているかを確認します。
- 発振周波数を確認する
発振周波数が規格値と一致しているかを確認します。
- 発振振幅を確認する
振幅が十分に確保されているかを確認します。振幅が小さい場合は回路条件が不適切である可能性があります。
- 回路条件を確認する
負荷容量、制限抵抗、マイコン設定などが振動子の仕様と整合しているかを確認します。
<発振していない、または発振が停止している>
発振回路が起動しておらず、クロック信号が生成されていない状態です。
クロックが供給されないため、マイコンやシステム全体が動作しない原因になります。
主な要因:
- マイコンの設定不備
- 発振余裕度不足
- 回路条件と振動子仕様の不整合
対策方法については『水晶振動子の発振回路が発振しない原因と対策は何ですか?』を参照下さい。
<発振周波数が規格値からずれている>
発振周波数が規格値からずれると、マイコン処理や通信タイミングに影響する場合があります。
主な要因:
- 発振回路側の負荷容量と振動子の規定負荷容量との不整合
- ドライブレベルの仕様書規格値からの逸脱
- 異常発振
対策方法については『水晶振動子の発振周波数がずれる原因と対策は何ですか?』を参照下さい。
<発振振幅が不足している>
振幅が小さい場合、クロック信号が正しく認識されず、発振回路の起動不良や動作不安定の原因になることがあります。
主な要因:
対策方法については『発振振幅が不足しているようなのですが、問題があるでしょうか。』を参照下さい。
<発振周波数の温度特性に異常がある>
温度変化に対して周波数が通常より大きく変動する場合があります。
主な要因:
- ドライブレベルの規格値からの逸脱
- 振動子特性の規格値からの逸脱
- 回路部品の温度依存特性
対策方法については『発振周波数の温度特性に異常があるのですが、原因と対策を教えてください。』を参照下さい。
発振回路のトラブル確認では、以下の項目を確認することが有効です。
- マイコンの設定を確認する
- 発振余裕度を十分に確保する(民生用途ではR1の規格値の5倍以上、車載用途では10倍以上が目安)
- 負荷容量を調整する
- 制限抵抗を調整し振幅とドライブレベルを適正化する
- ドライブレベルが仕様範囲内であることを確認する
発振余裕度とは
発振回路が発振を開始・維持するために必要な余裕の大きさを示す指標です。
一般的に振動子の等価直列抵抗(R1)の規格値に対して民生用途では5倍以上、車載用途では10倍以上の余裕を確保することが推奨されています。
発振余裕度の測定方法については『発振余裕度 測定方法の基礎知識』を参照下さい。
ドライブレベルとは
水晶振動子で消費される電力を示します。
ドライブレベルが高すぎると、周波数温度特性に異常が現れる原因になることがあります。
ドライブレベルの測定方法については『ドライブレベル 測定方法の基礎知識』を参照下さい。
負荷容量とは
発振回路に接続される容量成分です。
負荷容量は発振周波数や発振回路の安定性(発振余裕度)に影響します。
負荷容量については『水晶振動子 専門用語の基礎知識』を参照下さい。
設計時
発振回路の部品定数や回路条件を検討する際の参考になります。
試作/評価時
試作機の発振状態や周波数特性を確認する際のチェックポイントとして利用できます。
トラブル解析
機器が正常に起動しない場合や通信エラーが発生する場合に、発振回路が原因かどうかを確認する際に役立ちます。
量産不具合
量産機で発生する動作不良やばらつきの原因調査の参考になります。