セラミックコンデンサ(キャパシタ)/アプリケーション別サポート無線充電器におけるフィルムコンデンサ置き換え提案

無線充電器の共振回路にはフィルムコンデンサが搭載されている場合があります。
当社で実施したフィルムコンデンサから積層セラミックコンデンサ(MLCC)への置き換え評価結果を以下に示します。

1評価対象について

市販の無線充電器を入手し、置き換え評価を実施しました。
以下写真の赤丸部分に、フィルムコンデンサが共振コンデンサとして搭載されています。

フィルムコンデンサ置き換えのイメージ画像1

2フィルムコンデンサ置き換え案

置き換え案を以下に示します。
置き換え品はGRM3195C2A104JA01(1206M、C0G、0.1uF、100V)です。

置き換え案

フィルムコンデンサ : 7.3×6.5mm、0.33uF、63V → MLCC : GRM3195C2A104JA01(1206M、C0G、0.1uF、100V)×4pcs

フィルムコンデンサ置き換えのイメージ画像2

3フィルムコンデンサ置き換え評価

コンデンサの置き換え前後で、充電時の以下特性について確認しました。

<評価項目>
①コンデンサ表面の上昇温度
②電力変換効率

4コンデンサ表面の温度測定

測定条件

  • 動作環境 : 無線充電使用時
  • 測定環境 : 無線充電器を防風箱に入れて測定
  • 測定機器 : サーモビューア
  • 測定時の室温 :
    ①フィルムコンデンサ測定時 : 26.0°C
    ②MLCC測定時 : 24.5°C

測定結果

<フィルムコンデンサ : 7.3×6.5mm、0.33uF、63V> 最高:約57.0℃
<MLCC : GRM3195C2A104JA01(1206M、C0G、0.1uF、100V)×4pcs> 最高:約34.6℃

本測定では、フィルムコンデンサとMLCCで20°C以上の上昇温度の差を確認できました。

補足データ

<ESR比較グラフ フィルムコンデンサ vs MLCC> ESR比較グラフ

MLCCはフィルムコンデンサに比べてESRが低く、温度上昇を低く抑えることができます。

5電力変換効率の比較

上記コンデンサを使って、充電時の電力変換効率を評価しました。

<電力変換効率の比較グラフ フィルムコンデンサ vs MLCC> 電力変換効率の比較グラフ

本評価では、MLCCはフィルムコンデンサより電力変換効率が2%以上良い結果を確認できました。

6まとめ

フィルムコンデンサ→MLCCへのコンデンサ置き換え前後で、充電時の以下特性について確認しました。
①コンデンサ表面の上昇温度
②電力変換効率

1) コンデンサ表面の上昇温度

MLCCはフィルムコンデンサに比べてESRが低く、フィルムコンデンサとMLCCで20°C以上の上昇温度の差を確認できました。

2) 電力変換効率の比較

MLCCはフィルムコンデンサより電力変化効率が2%以上良い結果を確認できました。

3) スペースメリット

MLCCとフィルムコンデンサとの単体比較では、MLCCのほうが小型化に強く、実装面積の削減に貢献することができます。