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セラミックコンデンサ(キャパシタ)問題解決事例
非MLCC置き換え事例 ポリマーコンデンサからMLCCへの置き換え

1. はじめに

MLCCの大容量化

近年、MLCCは大容量化が進み、100uFを超える220uFや330uFという大容量な製品がご提供できるようになりました。(100uF以上の製品検索はこちら)一方、サーバや基地局機器のCPU、メモリ回路の電源は大電流を扱うため、大容量のコンデンサが必要とされています。DC-DCコンバータ出力部の出力コンデンサ(平滑用コンデンサ)に着目するとポリマーコンデンサが広く使われています。このポリマーコンデンサを大容量のMLCCに置き換えることで、機器の小型化や高信頼性、高いノイズ対策効果が得られるといったメリットがあります。
このコンテンツではDC-DCコンバータのテストボードを例にし、出力コンデンサをポリマーコンデンサから大容量MLCCへの置き換えるメリットをご提案します。

ポリマーコンデンサからMLCCへの置き換えのイメージ画像

2. ポリマーコンデンサとMLCCの比較

ポリマーコンデンサと比較し、MLCCには以下のメリットがあります。

  1. Ripple/Spike noiseの低減効果が大きい。(図1参照)
    • MLCCはポリマーコンデンサに比べ低ESR、低ESLの特徴があり、出力ノイズの低減効果が大きいです。
  2. 高信頼性。長寿命。(図2参照)
    • MLCCはポリマーコンデンサに比べてESRが小さいため、Ripple電流による発熱量が小さくなります。
      そのため、ポリマーコンデンサと比較して寿命が長くなります。
  3. 機器の小型化が図れる。
    • MLCCはポリマーコンデンサよりサイズが小さいため、機器の小型化が図れます。
(a)インピーダンスカーブ、ESR周波数特性
(b)S21特性
  • *Polymer Ta : ポリマータンタルコンデンサ
    SWF : スイッチング周波数

高域でポリマーコンデンサよりS21が小さい。
→RippleやSpike noiseをより低減することができる。

図1 インピーダンスカーブとS21特性

(a)ポリマーコンデンサ / 3528 size / 100uF
(b)MLCC / 3216 size / 100uF

【単位 : mm】

MLCCは温度上昇の傾きがポリマーコンデンサより緩い。
→寿命が長く、信頼性が高い。

図2 温度上昇カーブ

3. DC-DCコンバータ置き換え評価事例

置き換え評価した回路

置き換え評価したDC-DCコンバータ テストボードの回路図を示します。出力側のポリマーコンデンサC1、C2が置き換え対象となります。

図3(a)DC-DCコンバータ回路図
図3(b)DC-DCコンバータ テストボード外観図

DC-DCコンバータの仕様

  • C1、C2 : ポリマーコンデンサ 330uF / 4V / 7343 size
  • スイッチング周波数 : 400kHz
  • 入力電圧 : 14V、出力電圧 : 1.5V
  • 出力電流 : 30A

【単位 : mm】

置き換え提案

以下のように出力コンデンサを、ポリマーコンデンサからMLCCへ置き換えます。
置き換えの際、特性をみながら位相補償回路定数も調整します。(図4参照)

Output Capacitor C1、C2:ポリマーコンデンサ 330uF / 4V / 7343 size → MLCC 220uF / 4V / 3216 size

【単位 : mm】

  • 高域のインピーダンスが低いので容量値を下げることができます!(図1を参照)
  • 占有面積が83%削減できます!
C4:220pF → 22pF 図4 位相補償回路の調整

置き換え後の評価

①RippleおよびSpike noise、②Load transient※1、③Stability※2、④電力変換効率を観測・比較しました。

①Ripple / Spike noise

図5 Ripple / Spike noise 波形

Rippleは24%、Spike noiseは16%改善しています!

②Load transient

図6 Load transient 波形

Load transientは、初期に対し同等以下の振れ幅となり、問題ありません。

③Stability

Gain/Phase vs. Frequencyのグラフ
Measured item 初期 置き換え案 安定基準値
Phase margin (deg) 60.8 51.9 ≥45
Gain margin (dB) −8.84 −11.3 ≤−10
Cross over freq. (kHz) 53.1 72.4 ≤80

SWF/5=400kHz/5

図7 Stability

置き換え後のPhase margin、Gain margin、Cross over frequencyは安定基準値を満たしています!

④Efficiency

図8 Efficiency

変換効率は置き換え前後で変化なく、問題ありません。

4. まとめ

このコンテンツではDC-DCコンバータのテストボードを例にし、出力コンデンサの置き換え事例を紹介しました。出力コンデンサをポリマーコンデンサから低ESR、低ESLの特徴があるMLCCに置き換えることによって、RippleとSpike noiseを低減することが確認できました。また、Load transientや効率については同等特性で、Stabilityについても安定基準を満足しました。占有面積も83%低減することができました。この変更によりコンデンサの信頼性も向上します。
DC-DCコンバータ出力部の大容量コンデンサには、小型、高信頼性でノイズ対策効果の高いMLCCを是非ご使用ください。(100uF以上の製品検索はこちら

  • ※1Load transient :
    負荷電流の変化によって生じる電圧変動の大きさを観測します。
    急激な電流増加の場合、DC-DCコンバータは瞬時に対応できないので、その間、欠乏電荷⊿Qが発生します。このとき、出力コンデンサが一時的に電荷を放電し電流増加に対応します。出力コンデンサが放電することによって出力電圧が一瞬下がります。本評価では、その電圧降下⊿Vを観測します。
    ⊿V=⊿Q/C
    急激に負荷電流が減少した場合は、出力電圧は負荷変動により上がります。
図9 Load transientの解説
  • ※2Stability :
    DC-DCコンバータのようなFeed back回路では、Feed back loop(図中青の破線部)のGain、Phaseの周波数特性を観測して安定性を確認します。出力コンデンサを変更しますと、GainとPhaseの周波数特性が変化します。このとき、Phaseが遅れ、Gainが大きくなる場合、その程度によって電源回路が発振します。置き換えによって不安定な状態となった場合、安定性を確保できる様に位相補償回路の定数を調整します。評価指標としてはPhase margin、Gain margin、Cross over frequencyがあります。(下表1を参照)

Feed back loop :
出力コンデンサを変更すると、この経路のGainとPhaseが変化します。Gainカーブ、Phaseカーブを観測し、安定基準を満足しているかを確認します。図10(b)、表1を参照。

位相補償回路 :
これらの定数を調整してFeed back loopのGain、Phaseが安定基準(表1)を満足するようにします。

図10(a)DCDC converter circuit

図10(b)Gain/Phase vs. frequency(Bode diagram)
表1 安定基準
Measured item Criteria
Phase margin (deg) ≥45
Gain margin (dB) ≤−10
Cross over freq. (kHz) SWF/5