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光学応用製品光学応用製品の基礎知識―人工水晶の育成方法、規格

人工水晶の育成炉

育成炉の構造と水熱合成法の特徴

人工水晶は、水晶のアルカリ溶液に対する溶解度が温度により異なる(高温で水晶が多く溶ける)ことを利用し、高温・高圧の雰囲気で育成する、いわゆる水熱合成法と呼ばれる方法で育成されます。

育成炉はオートクレーブと呼ばれる圧力容器で、この中にNa2CO3やNaOH等のアルカリ溶液を充填して昇温し超臨界状態で水晶が育成されます。オートクレーブの上部が下部より低温になるように維持すると高温・高圧下で溶解した原料が溶液の対流により下部から上部へ移動して、種結晶上に析出することにより人工水晶が育成されます。用途に合わせ、育成条件、種結晶の方位および寸法を調整し、形状・寸法および特性の異なった人工水晶が育成されます。充分な管理の下に育成された人工水晶は、形状や寸法が制御されて均一な品質を持っています。

低温側水晶と高温側水晶

水晶デバイスに使用するのは「低温型水晶(α-Quartz)」ですが、常圧下で溶かして冷やすと、様々なSiO2の結晶体が発生します。そのためオートクレーブによる高温高圧条件での水晶育成が必要になります。573°Cを境にして水晶の結晶構造が容易に変化することが判明しており、水晶を取り扱う際には、573°Cを超えない様に細心の注意が必要になってきます。

<SiO2の同質安定相について>

人工水晶の原石品質の指標

人工水晶原石の品質規格は、JIS-C6704、IEC 60758となっています。

エッチチャンネル密度(Etch Channels Density)

結晶欠陥(線状欠陥や転移など)は、エッチング処理によってより判別し易い状態となる事が知られています。この特徴を利用し、人工水晶にエッチング処理を行った際に現れる「トンネル状の空洞の数」を規格化しているのです。

等級 ρ/cm2の最大数
1aa 2
1a 5
1 10
2 30
3 100
4 300

異物密度(Inclusion Density)

結晶中に含まれる異物の大きさと数量を規定。代表的な異物としては、オートクレーブ内壁の材質である鉄Feに起因する「アクマイトNaFe(SiO3)2」や「エメリューサイトLi2Na4Fe2Si12O30」などの微細結晶が挙げられます。

等級 異物サイズ(µm)
各等級の異物密度の最大値(Z領域の1cm3当たりの異物の個数)
10 to 30 30 to 70 70 to 100 100以上
1a 2 1 0 0
1b 3 2 1 1
6 4 2 2
9 5 4 3
12 12 6 4

赤外線吸収係数(Infrared Absorption Coefficient)

水晶結晶中に欠陥が存在すると、その欠陥部位にOH基が形成されます。このOH基は特定の赤外線領域の光を吸収する。結晶欠陥が増加するとOH基も増加し、従って赤外線吸収量も増加するのです。他方、結晶欠陥は水晶デバイス特性に影響し、その指標として「Q値」が用いられます。この「Q値と結晶欠陥を関連付けた指標」が「赤外線吸収係数(率)」となります。

等級 各等級のα値の最大値 推定Q値
(× 106
α3500 α3585 α3410
Aa 0.026 0.015 0.075 3.8
A 0.033 0.024 0.082 3.0
C 0.060 0.069 0.114 1.8
D 0.080 0.100 0.145 1.4
E 0.120 0.160 0.190 1.0