ジャイロセンサ採用事例:MEMSセンサにより、オペレータの作業負担が大幅に軽減され、エルゴノミクス(人間工学)・安全性の両面で向上が図られます。

概要

採用先:Ponsse Plc(ポンセ社)

産業/業種

産業/林業機械製造

事業内容
収穫ソリューション
採用範囲

短幹集材(CTL)方式の林業機械およびCTL林業機械の販売・生産・保守管理・技術

取り組み概要

Ponsse Plc(ポンセ社) 別ウィンドウで開く は、世界トップクラスの短幹集材(CTL)方式の林業機械メーカーです。お客様の成功と森林の維持を重視したテクノロジーリーダーとして評価されています。ユーザーのことを第一に考えかつ環境に配慮したポンセ社の林業機械は、困難な現場状況でも高い安定性を発揮します。それを可能にしているのは村田製作所のMEMSセンサです。ポンセ社は単なる一企業というだけではなく、それ自体がサクセスストーリーとも言えるでしょう。

一人の男の夢から始まり、1970年にフィンランドで創業されたポンセ社は、19,000台を超える林業機械を製造、グローバルリーダーに成長しました。今や世界各地で林業機械を使用する何千もの企業家やオペレータが日常作業で最も信頼を寄せているのが、ポンセ社の最新鋭の機械です。

PONSSE林業機械は、環境にやさしいCTL伐採を基盤としており、森林内での伐採はそれ専用に開発された特殊装置を用いて行われます。CTL方式は、全体的生産性の向上、精密な作業を実現し、燃料消費と排出量、さらには樹木および土壌へのダメージを最小化するものとして、効率的で持続可能性が高く環境に優しい伐採方式です。

お客様の課題

林業機械は一般に過酷な状況・困難な環境で使用されます。環境への負荷を最小限に抑え、機械オペレータの労働条件を改善することが求められます。

PONSSE林業機械は、過酷な状況下においても優れたエルゴノミクスと安定性を提供する点が特に高く評価されています。 PONSSE Scorpion 別ウィンドウで開く は、最新技術を駆使したマスターピースと言える新世代のハーベスタであり、ポンセ社自らが述べているように「森の王のようなハーベスタ」です。

ポンセ社の目指すところは、お客様の成功に貢献することです。PONSSE Scorpionは、オペレータの作業空間の優れた快適性を可能な限り追求することに設計の最重点を置き、開発全工程を通じて林業機械オペレータのウェルビーイングに配慮したものです。

採用の目的

PONSSE Scorpionは、クレーンの制御・操作性をより高めるアクティブクレーン・マネジメントシステムを搭載しています。オペレータはクレーンの操作に個別の機能を操る必要はなく、ハーベスタヘッドを適切な速度で適切な方向に動かすだけです。ポンセ社は、機械とクレーンの位置や動きの検出にムラタMEMSセンサを選択して採用しています。

ムラタが提供する価値

機械フレームとクレーンに搭載された村田製作所のセンサにより、機械の正確な位置と動きが検出され、最適化された使いやすいクレーン先端制御とキャビンのスムーズな水平調整が実現されています。

採用いただいた製品

ジャイロコンボセンサ

村田製作所は、実績ある自社の3D MEMS技術と高度のエレクトロニクス技術で、慣性力センサを開発・製造しています。産業機器用ジャイロ・加速度コンボセンサは、一般にこれまで高額な高性能モジュール製品でしか得られなかった水準の性能を備えています。

選定ポイント

村田製作所は、すでに15年以上にわたりポンセ社と協働してきました。両社には多くの共通点があります。ムラタの強い経営理念(社是)は、顧客の成功、持続可能性、イノベーションに重点を置くポンセ社の精神と価値観に大いに通じるものです。

両社の協働は単なる商取引関係にとどまりません。PONSSE林業機械用に実現し得る最良のコンポーネントを確保するべく、共同で更なる製品開発に取り組んできました。

ポンセ社は、ムラタのセンサこそ性能および総コストを含めポンセ社のあらゆる要件を実際に満たす初のセンサであるとして、村田製作所をサプライヤに選出しました。フィンランドにおいて生産と製品開発に携わる企業として、ポンセ社は、村田製作所がフィンランドにおけるMEMSセンサの開発・製造にもこれまで投資し、今後も開発・製造を継続するという事実を高く評価しています。

導入による効果

ムラタMEMSセンサによる高い安定性によって、オペレータの作業負担が大幅に軽減され、エルゴノミクス・安全性の両方が向上しました。センサのおかげで、単調な反復作業は自動化が可能となり、機械の動きはロジカルで効率的なものとなります。その効率性がエネルギー効率と環境効率の改善につながります。

お客様からの評価

ポンセ社の製品開発技師のAleksi Kivi氏は「ムラタを採用したことで、自社製品が高品質、長期信頼性にすぐれた製品となり、確かな供給力を備える製品となったと自信をもっていうことができます。当社の林業機械すべてにムラタのセンサを搭載しているので、安定供給が不可欠です」と述べ、今後について次のように語っています。

「現在、ムラタMEMSセンサをPONSSEハーベスタとフォワーダ全製品に使用しています。林業の将来を見据えると、持続可能性がますます重要課題となってきます。ポンセ社ではすでに電気林業機械EV1のコンセプト開発を進めており、これにもムラタの慣性センサを搭載する計画です。」